
Interview Vol.101
子どもがワクワクしながら体験できる企画で
今年も「宗像祭」を盛り上げ、将来へつないでいく。
EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第101弾の今回は、「地方創生」をテーマに2012年から始まった「宗像祭」を主催する宗像市役所の高尾亮平さん、浜田修一さんに話を伺いました。

2024年度の「宗像祭」ではプロレス「第14回ゴッデス・オブ・スターダム〜タッグリーグ戦〜in MUNAKATA」が行われました。その経緯について教えてください。
高尾シンプルに自分がプロレスファンということが大きいですね。福岡・宗像ユリックスイベントホールで15年以上前に新日本プロレスをやったことがあるとは聞いていたので、自分が担当になったからにはぜひやってみたいという気持ちはありました。通常、プロレスは年に1、2回福岡市内で興行するのですが、「観客の新規開拓につながりますよ」と、宗像市で興行する意味を興行会社の担当者に伝えたところ、「それはぜひやってみたい」といってくださって、開催することになりました。
11月の本番前に1回、夏頃にPRも兼ねて、宗像市に縁があるプロレスラーの舞華選手に来ていただいて、地元の小・中学生向けにプロレス体験を行いました。一緒に体を動かして一緒にご飯を食べよう、という内容です。舞華選手の大きさに子どもたちは「すごい!」と大興奮で、「将来プロレスラーになりたいです」という子もいて。子どもたちに、プロレスという仕事もあるんだということを伝えることができたかなと思っています。
実際に開催してみてどうでしたか?
高尾ユリックスではこれまでクラシックのコンサートが行われたりしましたが、なかなかスポーツ系のイベントは開催されなくて、地元の人たちが見に行く機会はあまりなかったんですよね。今回は地元開催ということで、市内の小学生は無料で観戦できるようにしました。親子連れも多く観戦に来られたので、興行会社にとっても私たちにとってもいい新規顧客が生まれたと思います。
当日、会場に来られた方に聞いても「こんな会場があったのに、スポーツイベントはなかったよね」とか「10何年前、ここにプロレスが来た時に見に来たよ」という人や、「もっとこういうのをやってほしい」という声もありました。初めて見た小学生は「女の人のプロレスのほうが激しい」「おもしろかったし、怖いのもあった」ととても興奮しているのが伝わってきて、今までにない体験をしてもらえたと思っています。私としては、子どもに見てほしい、体感してほしいということを考えていたので、パーフェクトではないけれど、ある程度達成できたと思っています。
浜田プロレスは、初めて見る人は衝撃を受けますよね。エンタメとしてお笑いっぽいものもあったりして、子どもたちのリアクションを見ているのも楽しかったです。
今まだ調整中ですが、2023年の宗像祭を受けて舞華選手が「観光大使にしてほしい」といってくれています。3月には高尾さんの計らいで、離島PRという名目で舞華選手が観光大使としていろいろなところを巡る企画も進行中です。

女子プロレスの試合は大盛況!
子どもをターゲットにしたのはなぜですか?
高尾宗像市の方針の中に、子育ての町にするための多様な取り組みがあります。そのひとつとして、企業がその仕事について子どもに紹介する「子ども大学」という取り組みを行っています。いろいろなジャンルの企業や仕事がありますがプロレスはなく、特に女性の社会進出のひとつである女子プロレスは、あまり見る機会がないだろうと思って子どもをターゲットにプロレスを開催しました。
キッズダンスも行われましたね。
浜田はい、高尾さんがプロレス企画を行うというのは決まっていたのと、2023年に行った宗像祭からスケールダウンはしたくはないという思いもあって、いろいろアイデアを出し合ってキッズダンスを開催しました。プロレスもそうですが、やはり子どもたちが参加しやすく活躍できるイベントになればいいという思いでしたね。
実際に子どもたちは真剣に踊っていましたし、嬉しい、あるいは悔しくて涙を流している子どもの姿も見られました。特によかったのは、2023年に手伝ってくれた東海高校の生徒が先生と一緒にイベントの仕切りを行ってくれたことです。前回がすごくいい思い出になったようで、高校側から「自分たちが何かできることはありませんか」と声をかけてもらって。東海高校のダンス部は全国大会にも出場していて実力もありますし、いい流れで2024年の宗像祭ができたと思っています。
高尾浜田さんとも話していたのですが、キッズダンスコンテストやプロレスの子どもリング体験をやったり、かたやKTちゃんという人気ラッパーが会議室で子ども向けに講義を行ったりと、同じ体育館の中で同時にいろいろな催しが行われていて、家族連れが周回しているという状況はよかったと思っています。

舞華選手と実際のリングを体験した子どもたち
釜山外国語大学も手伝ってくれたそうですね。
浜田はい、2023年に続いて大学生に会場設営などを手伝ってもらいました。2023年にリーダーとして活躍した学生が、そのまま大学の職員になって、今回は職員として来てもらいました。宗像祭の手伝いを毎年恒例にして大学のカリキュラムに入れたいという話もあり、可能性が広がっている感じがします。韓国と福岡は近いので、そういう交流は大切にしたいと思っています。
また、宗像祭をきっかけに、いくつかの企業が釜山外大の学生に対する採用活動も行うようになりました。インバウンド向けに、韓国の学生を採用したいということです。そういう話を聞くと、やってきてよかったな、つながりができているんだなと実感します。
「宗像祭」という名前を引き継いでいる思いは?
浜田宗像市らしい、笑顔あふれる平和なイベントにしたい、子どもたちにずっと残せるようなイベントとして続けていきたいという思いがあります。みんなで作る宗像祭として引き継いでいけたらいいと思っています。
今年はどんな企画を行う予定ですか?
浜田昨年のキッズダンスを見て子どもたちにもっと活躍の場を作ってあげたいと思っているので、今回はアーティストと一緒に踊る子どもたちを募集しようと思っています。100チームぐらいでダンスバトルを行って、優秀なチームはアーティストと共演、という形にできたらいい。おそらく100チームエントリーする大会は、西日本最大級になるんじゃないかな?宗像祭の趣旨にも一番合っていると思っていますね。
今回、照明や音響の専門学校から「ダンスのオーディションの運営を全部学生でやらせてほしい」とオファーを受けています。次世代を担う学生が子どもたちの夢を応援する、というのもおもしろいと思いますので、いろいろと挑戦していきたいと考えています。
高尾子どもをターゲットにすることは変わらないし、プロレスもまた見たいという声がたくさんあるのでぜひ企画したいと思っています。またスポーツ系やダンスもそうですが、複数のジャンルに渡って子どもが参加できる企画があるといいなと考えています。例えばプロレスを見た子どもが「これすごいな、やってみたいな」という機会を作れたらいいなと。宗像祭の日は子どもたちがいろんな場所でいろんなことに挑戦して頑張っている。そんな1日が作れたらいいなと思っていますね。それがきっかけとなって、子どもたちが何かに興味を持つことにつながればいいと考えています。
高尾さん、浜田さん、ありがとうございました!今年の宗像祭に向けて子どもたちに喜びや感動を与え、また興味のきっかけにもつながるような企画を真剣に考えるお二人の取り組みを、私たちも応援させていただきます!