
Interview Vol.113
環境美化や防犯活動で地域の人たちとつながり、
横浜西口エリアを明るくする。
長谷工グループのインキュベーション組織「UXDセンター」が行う共創プロジェクト「EVOLOVE(エボラブ)」は、2025年、日本各地の“街を明るくする”活動を開始します。
あなたにとって“明るい街”とはどんな街でしょうか?商店街に活気がある街、街灯が増え夜も安心な街、若い世代が移住してくる街、大学を卒業したら子どもたちがまた戻ってくる街、多くの観光客が遊びに来る街、季節ごとに花が咲き乱れる街。あなたの街をもっと“明るい街”に変えるために、みなさんはどんな活動をしているのでしょうか。
今回は、アートプロジェクトや環境美化、防犯活動を通して明るいまちづくりを行う一般社団法人横浜西口エリアマネジメントの籠田誠さん、吉岡真帆さんにお話を伺いました。

籠田誠さん(写真左)、吉岡真帆さん(写真右)
壁面にアートを描いて空間を一新。
そこに集う人たちも変化。
お二人の役割を教えてください。
籠田一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントで事務局長をしています。
横浜西口エリアマネジメントに関する全ての業務に関わっていて、横浜西口のほか、相鉄線沿線のエリアマネジメントも担当しています。
吉岡一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントで事務局業務や横浜西口を活性化するイベントの企画及び運営や関係者(地元、行政、周辺事業者など)との調整役をしています。そのほかに行政申請、事業報告、事業計画の作成など西口エリマネの実行役として、すべての実務を担っています。
現在の活動について教えてください。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメント横浜駅西口の活性化や、課題解決をめざしていろいろな活動を行っています。今から10年ほど前に「横浜西口元気プロジェクト」というのが立ち上がったのですが、その発展型として2017年に今の団体を設立しました。
イベントを中心に人のつながりを作り、地域や行政の方々と一緒に環境美化活動や防犯パトロール活動、帷子川周辺の防災・活性化活動などさまざまな活動を行いながら、地域全体を盛り上げていこうと頑張っています。

クリーンアップリレーの参加者のみなさんと
「街をあかるくする活動」について、取り組みのきっかけを教えてください。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメント以前の西口エリアは、ゴミがすごく多くて、繁華街ということもあり、治安の部分でも問題がありました。特にビルの間の死角となる部分は薄暗くて、おじさんたちがタバコを吸ってたむろするような場所になっていて。壁に落書きがされていたり、壁自体が汚れていたんですね。そこをなんとかしたいと環境改善や安心安全の面から考えて「アートを描いてみたらどうだろう?」ということになり、2023年に実証実験的な形でアートプロジェクトを始めました。横浜市では音楽とダンス、アートの3つのテーマでトリエンナーレが行われるのですが、その中のひとつとしてもあの場所が適しているのではないか、と考えたことも理由のひとつです。
当初は景観調整の観点から全体の10分の3の壁面にしかアートを施すことができなかったのですが、それでも効果てきめんで、ゴミが減ったり、そこに溜まっている人たちが変わってきたり、何よりその場所がすごく明るい場所になりました。2024年は「エリアの文化と自然が育むサステナビリティ」をテーマにほぼすべての描画にアートを実施しました。ビビッドなカラーの花々や緑が壁一面に描かれ、明るく華やかな雰囲気でした。こうしたアートプロジェクトはこれからも続けていきたいです。

ヨコハマ西口アートプロジェクト
活動によって変化はありましたか。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメント以前は夜中になるとスケートボードをする人たちがいたりして、なんとなく治安の悪い場所でしたが、今では若い人たちがインスタグラムなどに上げてくれるような場所になりました。居心地がいい場所になったのでしょうか、そこを訪れる人自体も変わってきたと思います。汚いところはどんどん汚くなっていきますが、きれいなところをわざわざ汚くする人はあまりいませんからね。
また、横浜西口には3つの商店街で形成される連合会がありますが、連合会の方々や自治会の方々と膝を突き合わせて話し合い、それぞれの取組について情報共有しながら一緒にできるところは協力しあって街を盛り上げていく取り組みを行っています。
連合会も今、すごくやる気になっていて、自分たちで補助金を取って街を緑化したり、きれいにしていこうと活動していらっしゃいますので、私たちも逆に応援していただきたいですね。
このエリアは羽田空港にインバウンドの人たちが到着しても富士山や鎌倉へ向かっていってしまうというような、なかなか訪れてもらえないエリアなのですが、こうした内側からの変化が街の魅力を作り出し、結果として観光客が増える、というのが今後の目標だと考えています。
街をあかるくする活動としての他の事例を教えてください。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメント横浜西口エリアの魅力のひとつは、3本の川が流れていることです。その河川を利活用していこうということで、カヤックを始めました。単純に桟橋からカヤックに乗るのではなく、カヤックを楽しみながらゴミ清掃を行おうというプロジェクトです。また、川遊びのワークショップのひとつとして、強力なマグネットを使って金属製のゴミを釣り上げて回収する実証実験も行いました。缶のような小さいゴミから、大きな自転車まで釣り上げる人もいてみんな楽しみながらクリーン活動を行ってくれました。
こうした河川に関する取り組みは、勝手に行えるものではなく、行政との連携が必要です。そういう意味では、我々は法人化しているので、協議はしやすい環境にあると思っています。

動力船社会実験
どのような思いで「街をあかるくする活動」を行っているのでしょうか。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントこれらの活動は、日々続けていくことが一番、という思いで行っています。クリーンアップ活動もパトロール活動も、時には立ち止まって見直すことも大切ですが、やはり日々いろいろな情報を取り入れながら活動を続けていくことが大切です。それが街の活性化につながりますし、私たちの活動に賛同してくれる地域の方々も増えていってさらに活性化していくであろうと思っています。

西口セーフティパトロール
内側からよくしていこうという気持ちで、
持続的に、街の活性化に取り組む。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントさんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントこの横浜西口エリアマネジメントの活動に関わってから、日々会う人達が大きく様変わりして、ものすごい数の人たちと会うようになりました。商店街の人たちや自治会、行政の人たちなどまったく違う仕事の人と関わることはとても刺激的でおもしろいです。人に会うのはけっこうエネルギーが必要とされることですが、でもその出会いによって次につながったり、自分の発想が変わったりすることを実感します。会社がお金をかければ大きなイベントができたり大きなアートを作り出すことはすぐにできるかもしれませんが、それは一過性のことで、持続性はないんですよね。こうやって、地域のいろいろな立場の人たちと知り合って、その人たちを巻き込みながら取り組んでいくと、街を外側だけではなく内側からよくしていこうという気持ちが少しずつ芽生えてくると思います。そういういろいろな人たちと関わって活動を行っていきながら、西口エリアをもっとよくしていくことが、私たちのEVOLUTION×LOVEだと感じています。

子ども夢の商店街ダンス
10年後、20年後はどうなっていたらいいと思いますか?
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントもっと西口エリアが注目を浴びる場所になっていたらいいと思いますね。西口を発端として東口やみなとみらいを巻き込んで、横浜が東京と同じくらいの国際都市になっていたらいい。私たちが行ってきた小さな活動は、こんな大きなところに結びついていたんだな、と感じられるようになっていたら嬉しいですね。
一般社団法人 横浜西口エリアマネジメントさん、ありがとうございました!アート活動や環境美化活動、防犯活動を通して横浜西口エリアを盛り上げていく横浜西口エリアマネジメントさんの活動を、今後も応援させていただきます。