空でつながろう

Interview Vol.115 イルミネーションやビアガーデンなど
多様なイベントで吉田町を明るくし、
横浜市の各町をつないで盛り上げる!

長谷工グループのインキュベーション組織「UXDセンター」が行う共創プロジェクト「EVOLOVE(エボラブ)」は、2025年、日本各地の“街をあかるくする”活動を開始します。

あなたにとって“明るい街”とはどんな街でしょうか?商店街に活気がある街、街灯が増え夜も安心な街、若い世代が移住してくる街、大学を卒業したら子どもたちがまた戻ってくる街、多くの観光客が遊びに来る街、季節ごとに花が咲き乱れる街。あなたの街をもっと“あかるい街”に変えるために、みなさんはどんな活動をしているのでしょうか。

今回は、吉田町で行うイベントを通して街を明るくする活動を行う一般社団法人 吉田町名店街会 倉本淳哉さんに話を伺いました。

イルミネーションやビアガーデンなど多様なイベントで吉田町を明るくし、横浜市の各町をつないで盛り上げる!

倉本淳哉さん(経営されるバーにて)

吉田町に行きたくなるイベントを、
商店街や町内の人たちが結束して展開。

現在の活動について教えてください。

倉本吉田町名店街会の専務理事を務め、名店街の入口にある福富町西公園内の大木2本を約2万6000球のLED電球でライトアップする「吉田まちイルミネーション〜幸せの木プロジェクト〜」を行ったり、公園横の「ノラねこ通り」にネオン看板を設置して防犯面や環境面からまちを明るくする町内会の活動の協力を行っています。

また15年前から地域活性のために「吉田まちじゅうビアガーデン」や「ジビエフェスタ」、「防災フェスタ」などを行っています。

イルミネーションやビアガーデンなど多様なイベントで吉田町を明るくし、横浜市の各町をつないで盛り上げる!

吉田まちイルミネーション〜幸せの木プロジェクト〜

「街をあかるくする活動」について、取り組みのきっかけを教えてください。

倉本吉田町は野毛と伊勢佐木町の間に位置し、江戸時代に吉田新田という新田を埋め立てて出来た場所で、横浜市内では歴史のある場所として商店街も栄えていました。でもバブル崩壊後に一度街が衰退してしまいました。最近では飲食店やバーが増えて、盛り返してきたので、吉田町という名前をまずいろんな人に知ってもらおうとこの活動を始めました。その最初の取り組みが、15年くらい前から行っている「吉田まちじゅうビアガーデン」です。商店街の道路を通行止めにして開催するイベントで、もともと町内の人たちが中心になって行っていたのですが、商店がだんだん増えてきて、商店街も町内も一緒にこの企画を行い続けようと結束して実施しています。でもビアガーデンは野外イベントなので冬の閑散期は賑わいに欠けて開催を控えてました。そこで新たに、吉田町に行きたくなるような企画を商店街の人たちで話し合い、イルミネーションの企画が生まれました。

ただしイルミネーションはお金がかかります。町も一度衰退した経緯があるのでもちろんお金はありません。横浜市が夜のイルミネーションを行っているので、横浜市の行政に相談したところ、まずは各町のイルミネーションイベントを自分たちで継続的に行うことができたら横浜市の「ヨルノヨ」というイルミネーションイベントとも絡めることができる、という返事をもらいました。ここをめざして、自分たちの力で少しずつ頑張っています。

イルミネーションやビアガーデンなど多様なイベントで吉田町を明るくし、横浜市の各町をつないで盛り上げる!

吉田町 ノラねこ通り

どのような思いで「街をあかるくする活動」を行っているのでしょうか。

倉本イルミネーションもそうですが、ビアガーデンや防災フェスも「吉田町」という冠名をつけてSNSやホームページで発信することで、まずは町の名前を知ってもらいたいという思いがあります。

横浜市内の商店街は60〜70代の人たちがまだ現役で活躍されているところが多いです。その中で、うちは私と同じ43歳の鶏肉店「梅や」の4代目が吉田町名店街会の理事長を、私が専務理事を勤めています。私たちのように比較的若い世代がいろいろなことにチャレンジしながら、とにかく吉田町の名前をアピールしていこうと活動していると、「具体的にどんなことをやっているのですか?」という問い合わせも結構多いですね。

横浜には、中華街で行われる横浜春節祭というイベントがあります。イベント自体は盛り上がり期間中は中華街に多くの人たちが訪れるのですが、中華街だけ立ち寄ってすぐに帰る観光客が多いのです。野毛や伊勢佐木町、関内、元町などの商店もすごく頑張っていますが、街同士の点と点が面になって盛り上がるイベントが今までありませんでした。そこで昨年より、1月から2月にかけて中華街のランタンをいろいろな商店街に配置し、デジタルスタンプラリーを開催して、観光客の人たちに中華街以外の街にも足を伸ばしてもらおうという仕掛けが行われました。その結果、昨年に比べたら2月に1.5倍以上の人たちが訪れました。吉田町もそのイベントに加わることができたのですが、それは私たちがイルミネーションやビアガーデンを通して吉田町の魅力を発信し続けてきたからだと感じています。

イルミネーションやビアガーデンなど多様なイベントで吉田町を明るくし、横浜市の各町をつないで盛り上げる!

吉田町 ノラネコ通りイルミネーション

倉本さんにとっての地域活性を教えてください。

倉本私たちの世代以上で飲食店を経営されている人たちは、子どもができても大人だけで盛り上がるイベントをずっと続けてきたわけですが、今後は子どもたちも一緒に遊べるイベントを行っていきたいと思います。子どもたちがこの街を好きになってくれたら、大きくなったときに「吉田町っていい商店街だよね、この街がなくならないようにしていきたい」と思ってくれると考えています。私たちは今30〜50代が中心で、このまま10年、15年と続けていくのは体力的にも厳しいです。外から入って来られる人に頼むという手もありますが、小さい商店街なので入れるキャパシティも決まっています。だからこそ、もともと街にいる子どもたちが吉田町のことを好きになって、「ここにいたいね」と思ってくれる、そういう活動を続けていくことが地域活性につながると思っています。

イルミネーションやビアガーデンなど多様なイベントで吉田町を明るくし、横浜市の各町をつないで盛り上げる!

イルミネーションの後継イベント「ランタン祭」

店単体ではなく、
町や周辺も明るく盛り上げる。
それが私たちの使命。

倉本さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

倉本私は2010年からバーを経営していて、今年で15年を迎えます。立ち上げた頃は景気も悪く、また20代だったので、最初は自分の店がどうすれば売り上げを上げられるか、それだけを考えていました。ちょうどその頃から、先輩方が「どうしたら吉田町の知名度がもっと広がるのか」ということを試行錯誤されていて。先輩方から「数十年は、君たちも店のことだけでなくこの町のことをお手伝いみたいな感じでやるんだ」といわれて、「なんでそんなことをやらなきゃいけないんだ。うちの店のことだけやれたらいいのに」と思っていました。

でも、そういう活動をすればするほど、町に人を呼ぶということは店舗単位では難しいということを身にしみて感じるようになりました。自分の店はだんだん潤ってきているのに、隣近所の店はまたなくなって、空きスペースになって、頑張っていた先輩の店でも閉店しちゃってというのを繰り返し見てきて、「うちのように元気な店がもっと他と協力して街を盛り上げたら、地域貢献につながるんじゃないか」と考えるようになりました。いつも思っているのは「店だけじゃなくて町やその周辺も潤うようにするのが私たちの使命」ということです。これが私たちの常であり、この先にもつないでいくことが私のEVOLUTION×LOVEだと考えています。

10年、20年後はどうなっていたいですか?

倉本ビアガーデンの時期を確定して毎年そのタイミングで来られる人を増やすとか、イベントを精査してスマート化できているといいですね。私たちが行う新しいことは実証実験的な部分が多いので、ルールを作って継承していけたらと思います。

倉本さん、ありがとうございました!吉田町の知名度を上げる活動を通して、横浜市や企業とコラボしながらどんどん広げて未来へつないでいこうと頑張っている倉本さんを、今後も応援させていただきます。