
Interview Vol.117
大規模Park - PFI事業
生まれ変わった名古屋のHisaya Ordori Parkに、
たくさんの笑顔を!
長谷工グループのインキュベーション組織「UXDセンター」が行う共創プロジェクト「EVOLOVE(エボラブ)」は、2025年、日本各地の“街を明るくする”活動を開始します。
あなたにとって“明るい街”とはどんな街でしょうか?商店街に活気がある街、街灯が増え夜も安心な街、若い世代が移住してくる街、大学を卒業したら子どもたちがまた戻ってくる街、多くの観光客が遊びに来る街、季節ごとに花が咲き乱れる街。あなたの街をもっと“明るい街”に変えるために、みなさんはどんな活動をしているのでしょうか。
今回は、名古屋市の中心にあるHisaya Ordori Parkの「Park - PFI事業」を通して、街をあかるくする活動を行うHisaya-odori Park Design Centerの藤田大輔さんに話を伺いました。
PFI事業というのは、Private Finance Initiativeの略称で、民間企業が公共事業の発注者(地方公共団体など)と連携し、設計、建設、運営、維持管理などを一括して行うものです。

Hisaya-odori Park Design Center 藤田大輔さん
「みんなのもの」である
公園としての強みを生かす。
現在の活動について教えてください。
藤田私自身は広告代理店の社員として働く中で、名古屋市が公募したPark - PFI事業の元、指定管理者の三井不動産とともに公園のにぎわいづくりのため、2020年に「Hisaya-odori Park Design Center」を立ち上げ、現在はスタッフの1人としてHisaya Ordori Parkの一般イベント受付/SNS等を活用した広報/運営管理業務をしています。Park-FPI事業とは、公園の魅力を高めるために公園内に飲食店や売店を設置して収益を上げ、そのお金を公園の維持管理に当てて公園の質を高める事業のことです。

Hisaya Ordori Park(ミズベヒロバ)

Hisaya Ordori Park(ミズベヒロバ)
「街をあかるくする活動」について、取り組みのきっかけを教えてください。
藤田名古屋市はリニア新幹線が開通する予定の名古屋駅に大きなビルや企業が集まっています。かつてのHisaya Ordori Park界隈にも多くの企業がありましたが、名古屋駅へ移動してしまった企業も少なくありません。
以前のHisaya Ordori Parkは夜になると立ち入るのが怖いような暗いところもあり、なかなか近寄れない場所でした。また「名古屋飛ばし」という言葉があるように、名古屋には観久屋大通公園北エリア・テレビ塔エリアをきれいにし、賑わいを創出してほしい」というオーダーを受けました。
事業をやるからにはただ単にきれいにするだけではなく、ブランディング的な要素を取り入れて、ここから日本ないし世界に向けて発信していけるような場所にしよう、名古屋に今までなかったような風景を作ろうと立ち上がりました。
完成したのがコロナ禍だったので、最初は「スモールスタート」というキーワードで開園しました。ミストが出る水盤を作ったので、ミストと相性がいいレーザー光線を仕掛けようということになって。いろいろ考えた結果、愛知県の県花がカキツバタで「幸せは必ず来る」という花言葉があることから、医療従事者に向けて感謝とエールを送る意味で「アカリバ久屋」を作りました。3年目には、ウクライナとロシアの戦争に向けて「世界中に光を」という意味を込め光の演出を行いました。その時々にさまざまな時代背景があったので、街を明るくするだけでなく世の中を象徴的な公園から明るくする、結果としてそんな形になったと思います。

ライトアップされたHisaya Ordori Park(ミズベヒロバ)
「街をあかるくする活動」を行うようになって、街に変化はありましたか?
藤田Hisaya Ordori Parkとして生まれ変わった事で、地域の公園だけでなく、観光の場、HUB的な場所として、公園の存在を認識してくれる人たちが多くなってきました。
インスタレーションをきっかけに公園を訪れたら、おいしいものが食べられた。買い物に行ったらイベントやっていて楽しかった。といった思いがけない嬉しいことに出会えたり、芝生で寝っ転がってちょっと喋るのも気持ちがいい場所です。訪れる人が自由に楽しみたい形で楽しんでくれたらいい。それがまさに単なる商業施設ではなくてみんなのもの、いわゆる“公園”としての強みだと思います。

イベント時の様子(ミズベヒロバ)
藤田さんにとっての地域活性を教えてください。
藤田公園はみんなの場所。イベントを行いたい方々や、これまでまちづくりをしてきたこの街の先輩方や団体も含めて、さまざまな方々の相談相手として私たちの存在があると思っています。
実は、Hisaya Ordori Parkをこのような形にしてから、「公園の木を切ってしまった」とか「コロナ禍にこんなに人を集めるなんて」など、最初はたくさんの批判的なご意見をいただきました。しかしそれぞれの方々の目線に立って、長い時間をかけて会話を続けてきた結果、今ではクレームをいただくこともなくなりました。「こういうことをやりたいんだけど」と相談をしたり受けたり、お互いにできること、できないことを提案し合うような例もたくさんあります。
そういう意味で、地域活性には、ただ公園をきれいにすることではなく、いろいろな立場の方々と根気よく会話をして仲良くなることが大切だと感じています。私たちにとってはこの地域の方たちが一番の先生。その先生とどうつながっていくかが重要です。
また地域活性には笑顔も大切だと思っています。例えばお祭りのように、名古屋の真ん中で踊ることに達成感を感じて笑顔になる人もいますし、いろいろなイベントでたくさんの笑顔に出会います。その笑顔のために私たちがするべきことは、Hisaya Ordori Parkで楽しく過ごせることを、どれだけ提案できるかだと考えています。

公園内のケヤキヒロバにてヨガを行うみなさん。
この街と地域の人をリスペクトし、
一緒に盛り上げていくことが大切。
藤田さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
藤田Hisaya Ordori Parkは、以前あった久屋大通公園北エリア・テレビ塔エリアをきれいにして商業施設や飲食店を設けた、いわば一から仕切り直した場所です。でも一の前にはゼロがある。当然、この公園にはこれまでいろいろな人が関わってきています。そこに、この街をよく知らない私たちのような人間が運営者として関わり始めたわけです。だからこそ、Hisaya Ordori Parkをよりよくしていくためには、以前からこの場所を愛する人達をきちんとリスペクトして、今後も一緒になってやっていこうという気持ちを持つことが大切だと思っています。そうすれば、もっとこの場所がよくなって集まる人も増えて、笑顔も増えて結果としてみんながハッピーになれる。またHisaya Ordori Parkだけではなく人もどんどん成長していって、この場所自体が思い出になっていく。思い出というと過去の話のように聞こえますが、未来へとつながる思い出をみんなで一緒に作りながら、想いを伝え続けること、それがまさに進化であり、EVOLUTION×LOVEだと思っています。

映画鑑賞イベントの様子(公園内ケヤキヒロバにて)
藤田さん、ありがとうございました!地域の人たちとの関係を大切にしながら、Hisaya Ordori Parkの運営を通してみんなが笑顔でハッピーになれる場所を作ろうと頑張る藤田さんの活動を、今後も応援させていただきます。