空でつながろう

Interview Vol.121 138年の歴史を誇る船舶会社。
琵琶湖を愛する仲間とともに
滋賀・琵琶湖の魅力を発信し続ける

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第121弾の今回は、「びわ湖アンバサダー」の皆さんとともに琵琶湖の魅力発信や地域活性に貢献する、琵琶湖汽船株式会社の森香子さんに話を伺いました。

138年の歴史を誇る船舶会社。琵琶湖を愛する仲間とともに滋賀・琵琶湖の魅力を発信し続ける

森香子さん

「びわ湖アンバサダー」から
多様な提案や意見をもらいつつ、
ともにさまざまな活動を展開。

現在の活動と会社の事業内容について教えてください。

琵琶湖汽船株式会社のクルーズ企画・広報を担当しています。当社は今年で開業138年を迎えますが、さらにその5年前、1882年に前身会社の一つである「太湖汽船」が、日本初の鉄道連絡船の運航を目的に設立されております。ほどなくして鉄道がつながることになり、鉄道連絡船は10年経たずして役割を終えてしまいましたが、大正時代に入ると、観光事業にシフトしていきまして、近江八景めぐりや竹生島めぐりで京阪神から多くの観光客にお越しいただくようになったようです。昭和初期はスキー船や水泳船も運航していました。その後、琵琶湖が国定公園になったのを機に瑠璃丸という船が就航して人気を博していましたが、昭和57年に就航したミシガンにバトンタッチして、現在のびわ湖クルーズへと続いています。おかげさまで当社は古くから地元の方々に「汽船さん」と呼ばれており、地域の方々に受け入れていただいていることを大変ありがたく感じております。

138年の歴史を誇る船舶会社。琵琶湖を愛する仲間とともに滋賀・琵琶湖の魅力を発信し続ける

2023年ミシガンアフタヌーンティー試食会

現在の琵琶湖汽船の船舶事業について教えてください。

所有船舶は全部で7隻あります。大型船のミシガン、ビアンカ、それ以外に高速船です。主力の航路は琵琶湖の南部、大津港を発着する「ミシガンクルーズ」と、琵琶湖の北部にある“パワースポット”竹生島へ行く「竹生島クルーズ」です。1日かけてびわ湖を一周する「ぐるっとびわ湖島めぐり」も人気があります。

琵琶湖観光を盛り上げる「びわ湖アンバサダー」について教えてください。

びわ湖アンバサダー制度は、2022年の開業135周年の記念事業として始めました。2020年に始まったコロナ禍では、緊急事態宣言などで船を運休せざるをえない時期もありました。思うような活動ができず、私どものモチベーションも下がってしまって、どうたらよいかと悩んでいた頃、SNS上で「琵琶湖汽船頑張って」とか「ミシガン応援しています」などの温かいお声が大変励みになりました。そういったこともあり、135周年の記念企画では、当社を応援してくださる方と一緒に琵琶湖観光を盛り上げていけたらとの想いで、アンバサダー制度の取り組みをスタートしました。

アンバサダーさんは応募動機として当社への思い、琵琶湖への思いを持っていらっしゃる方の中から選出し、SNSを中心に滋賀・びわ湖の魅力を発信する活動をしていただいています。アンバサダーさんには、当社が企画するさまざまな体験にも参加していただくので、地元はもちろん関西圏の方も多くいらっしゃいます。

最初は周年企画として1年限りで終わる予定だったのですが、続けていくことで広がっていくこともあるので、できる限りこの取り組みを続けようと活動しています。毎年多くのご応募をいただき、びわ湖アンバサダーの取り組みも徐々に認知されてきていると感じています。アンバサダーさん同士のつながりもできて、当社を応援してくださる方の層が厚くなってきているのが嬉しいです。

アンバサダーの任期は1年で終わりですが、OBの皆さまとも継続的にやり取りをさせていただいています。OBの方にも現役生に混じってイベントなどに参加いただくこともあります。「びわ湖アンバサダーの活動を通じて、ますます琵琶湖や琵琶湖汽船への興味が高まり、身近に感じるようになった」とさらに滋賀・琵琶湖の魅力を発信してくださる方もいて。任期終了後も自発的に活動してくださるのが、とてもありがたいです。

イベントごとに一緒に活動をすることで、相互理解も深まりますし、より近い形でご意見やご提案をしていただけたり、また私たちスタッフに「滋賀県でこんなイベントあるよ」と他のイベント情報を教えてくださったり、当社の現状を理解していただいた上で多角的なアドバイスやご提案をしていただけるので、本当にありがたい存在だと思っています。

138年の歴史を誇る船舶会社。琵琶湖を愛する仲間とともに滋賀・琵琶湖の魅力を発信し続ける

2025年4期生メンバー

地域活性につながる活動について教えてください。

びわ湖アンバサダーに関しては、琵琶湖への思いが当社の方向性とマッチする方たちなので、一緒に活動を続けることが地域活性につながると思っています。

たとえば、当社では20年ほど前から、琵琶湖唯一の有人島である沖島を訪れるさまざまなクルーズツアーを行っています。沖島も他の地域同様に高齢化が進んでいまして、沖島を盛り上げようと地域の方々と協力して多様な取り組みを展開していますが、時にはアンバサダーさんの協力をいただくこともあります。夏には沖島で「鮒ずしづくり体験」を開催しますが、島のみなさんが高齢になって、準備で大変なところをアンバサダーさんにボランティアでお手伝いしていただいたりとか…。本当に頼もしく感じるとともに、双方にとって良い関係性になっていることで、地域活性につながっているとも実感しています。

138年の歴史を誇る船舶会社。琵琶湖を愛する仲間とともに滋賀・琵琶湖の魅力を発信し続ける

2024年ふなずしお手伝い

美しい琵琶湖を未来へ
継続させるための
取り組みを行っていく。

森さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

大津港周辺は、今後さらに活性化していくために、再整備する構想があります。当社も大津港周辺がもっと賑わって、多くの人に来ていただけたらいいと思っています。しかし琵琶湖自体が美しくなかったら来ていただいた方もがっかりされてしまうので、琵琶湖がずっときれいであること、またその琵琶湖のすばらしさを伝えていくことが私の仕事だと思っています。アンバサダーさんの中には、琵琶湖が本当に好きで事業を立ち上げられた方もいますし、写真集を出された方もいます。こうした方々と絆を深めて、また琵琶湖が好きで観光に来られる方とも手を取り合いながら、琵琶湖を守る活動を一緒に長く継続していけたらいいなと考えています。それが私にとってのEVOLUTION×LOVEです。

びわ湖アンバサダーの取り組みは、まだまだ手探りな部分がありますが、3期生の皆さまとは、観光に来られた方により多く琵琶湖の魅力を発信しようと観光ガイド冊子を作りました。びわ湖アンバサダー活動も今年で4年目に入ります。今後、この取り組みがどういう形に変化していくか、進んでいくのかは未知数ですが、ただ本当に皆さんが熱い想いを持って活動に取り組んでくださっているので、私たちもその思いに応えられるよう一緒に琵琶湖を盛り上げていきたいと思っています。

138年の歴史を誇る船舶会社。琵琶湖を愛する仲間とともに滋賀・琵琶湖の魅力を発信し続ける

2024年湖岸清掃イベントお手伝い

森さん、ありがとうございました!地元の方々にとってマザーレイクである琵琶湖の魅力を、アンバサダーの方たちとともにさらに盛り上げていこうと尽力される森さんの活動を、今後も応援させていただきます。