
Interview Vol.122
日野市でアート活動を行いながら、
人と人との交流を生み出し、街を盛り上げていく。
長谷工グループのインキュベーション組織「UXDセンター」が行う共創プロジェクト「EVOLOVE(エボラブ)」は、2025年、日本各地の“街を明るくする”活動を開始します。
あなたにとって“明るい街”とはどんな街でしょうか?商店街に活気がある街、街灯が増え夜も安心な街、若い世代が移住してくる街、大学を卒業したら子どもたちがまた戻ってくる街、多くの観光客が遊びに来る街、季節ごとに花が咲き乱れる街。あなたの街をもっと“明るい街”に変えるために、みなさんはどんな活動をしているのでしょうか。
今回は、東京都日野市で線画家や壁画アーティストとしての活動を行いながら、地域の交流づくりに貢献するもんでんゆうこさんに話を伺いました。

もんでんゆうこさん(photo ENDO Chie)
アートという非日常が
街の価値を上げ、
地域の経済と人を動かす。
もんでんさんの現在の活動について教えてください。
もんでん個人事業主のアーティストとして日野市を拠点に、壁画制作やガラスアートを手がけています。企業からの依頼でイラストを描くこともあります。また日野市の空き家マッチング制度を利用して古いアパートをアトリエにして、創作活動を行っています。その他にも、保育園で絵画講師を行ったりしています。

ももの木
もんでんさんがアート活動を行うようになったきっかけを教えてください。
もんでんもともと絵を描くことが好きで、看護師の仕事や子育ての合間に趣味で絵を描いていました。当時、絵を習っていた先生に「どうせ絵を描くならプロをめざしなさい」といわれてから漠然と「お金になる絵が描きたい」と思うようになりました。たまたまその時に地域の人から「日野市の寺社巡りイラストマップを描く人を探している」と聞いて、紹介をしてもらって。それが最初の仕事です。寺社巡りイラストマップは年に1回の仕事で、3回連続で携わりました。その後、また地元でカフェロードマップを作りたいという人から依頼をいただき、それがきっかけで多摩信用金庫の広報誌でイラストマップを描くという仕事をいただくようになりました。創刊号から100号まで8年間、毎月イラストマップを描かせてもらいました。それが元となっていろいろな人に私の絵を認知していただけるようになり、お仕事の依頼も舞い込むようになりましたね。おそらく、たましん(多摩信用金庫)さんのお仕事で、私の知名度と信頼度が上がったのだと思います。気がついたら、個人事業主として絵を描く仕事をするようになっていました。

もんでんさんが作成した「南平まち歩きイラストマップ」
壁画制作はいつから行われるようになったのですか?
もんでんたましんさんの連載が終わり、ちょうどコロナの時期が重なってイラストの仕事も下火になったのですが、2023年にとあるイベント会社から「マンション建設の際に現場に設置される白い囲いを使ってアートプロジェクトをやりたい」という問い合わせがありました。壁画を描く仕事はそれまでしたことがなかったのですが、おもしろそうだったのでやってみようと。それをきっかけに壁画の仕事も行うようになりましたね。

多摩平の森アートプロジェクト
絵を描く仕事を通して、地域の人々とのつながりはできたのでしょうか?
もんでんイラストマップに関していえば8年くらい続けた中で、最初は建物や人や食べ物などの絵をメインにしたマップを作っていたのですが、そのうちに地域で街づくりをしている人やコワーキングスペースを運営している人など、地域を盛り上げるためにさまざまな活動を行う人をマップで紹介するようになりました。紹介される側も「写真はNGだけど絵ならいいよ」といってくださって。そこから私自身は「何もないわけではなく、探せばこの街には面白い人がいるんだな」と思うようになりましたね。
たましんさんから、私のイラストマップがきっかけでリアルに支店へ足を運ぶ方や、口座を開設する方が増えたとお聞きしました。中には広報誌をずっとストックしてくださっている人もいたりします。私のイラストは紙との相性がいいのでしょうね。もちろんデジタルアーカイブで見ることもできますが、紙にはデジタルでは出せない風合いがあるというか、たぶん紙だと描き直せないから、その感覚も絵に出るのでしょう。ストックしていただいていることはとても嬉しく思っています。
また個人事業主が集まって勉強する「日野商人塾」にも入って、同期の8人でイラストマップ「日野いいとこマップ」を作りました。自分たちでマップを作る協力金を集めて、1万部印刷して8千世帯にポスティングし、残りは京王線の南平駅に置かせてもらったりして精力的に活動しましたね。イラストマップでパズルを作り、販売した収益金で追加のパズルを作って地元の南平小学校や、七生中学校に寄付もしました。この活動は新聞社、テレビ局、ネット記事を始め、多くのマスコミに取り上げてもらっています。
壁画制作でも、最初の数日間は皆さん素通りしますが、3〜4日経つと「もう一息だね」と声をかけてくれる人もいました。近くのカフェのオーナーさんがスープを提供してくださるなど、さまざまな差し入れがありました。地域の人も意外とアートに興味があるんだなと肌で感じたと同時に、絵を描くというコンテンツは人々の交流を生み出す大きな力があると実感しました。

もんでんさん作「日野いいとこマップ」
もんでんさんにとっての地域活性を教えてください。
もんでん今は情報格差社会といわれていますが、私は地方から東京へ来てファッションにしても店にしても、すべてオンラインで解決できるからそんなに格差はないと感じました。反対に、田舎の景色や祭りのほうが都会から来た人にとっては価値があるというか、地方の人にとっては普通のことが実は価値があるのではないかと思っています。そういうことに価値を見い出し、その気づきを生かしたまちづくりや情報発信をしていくことが地域活性につながると考えています。
また私が描く壁画やマップのように、アートという非日常が地域に加わることによって、さらに街の価値を上げ、地域の経済を動かし、人の交流を生み出すことも地域活性化のひとつだと思っています。
見た人が明るく、元気になって
自分自身もハッピーになれる。
そんな絵を描き続けていきたい。
もんでんさんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
もんでん私にとって絵を描くことは、疲れていても頑張れること、たとえわずかな時間でも描くことで気持ちが落ち着くのです。看護師時代は、とても仕事が大変でしたが、それでも時間を見つけて描くことで、自分自身も救われました。気がついたらペンを取っていて、描いていると楽しくて楽しくて。それをビジネスと結びつけて数値化していくことは今の私の課題のひとつですが、動き出した以上はこのまま描き続けていきたいと考えています。以前、多摩動物公園で開催された第9、10回アフリカフェアのノベルティグッズをデザインさせてただいて、スタンプラリーの景品として 数量限定で配布したところ、早い段階で全て配布しおわってしまったことがありました。そのグッズを手に取った方に喜んでもらえて、多摩動物公園も来場者が増えて喜んでくれたのだと考えると、私自身もとても嬉しいですね。こうしたグッズもそうですが、今後も機会があればその街に行きたくなるようなイラストマップを作って、それによって街がより一層見える化され、市内の店に訪れる人が増えてさらに街全体が活気づいたらいいなと考えています。見た人が明るい気分になって、元気になってくれる人が1人でも多く増えて、私もハッピーにつながるような絵を書き描き続けていくこと。それがEVOLUTION×LOVEだと思っています。

高幡台団地空間活用プロジェクト
もんでんさん、ありがとうございました!壁画やマップ制作など、多彩なアート活動を通して多くの人々を幸せな気持ちにさせ、日野市の活性化にも貢献するもんでんさんの活動を、今後も応援させていただきます。