
Interview Vol.123
「この商店街に出店したい」姫路で
一番の商店街としてのブランド力を継続し、
未来へつなぐ。
EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第123弾の今回は、姫路駅と姫路城を結ぶ老舗商店街「みゆき通り商店街」で商店街の活性化に貢献する、姫路御幸通商店街振興組合理事長の濵本卓弥さんに話を伺いました。

濵本卓弥さん(2023.8月 姫路得とくゼミナールにて)
トリックアートや映画、
YouTubeチャンネルなど
多様な仕掛けで商店街の魅力を発信。
姫路御幸通商店街振興組合の現在の活動について教えてください。
濵本メインはみゆき通り商店街の環境整備を行っています。また販売促進の事業として商店街でイベントの開催やクーポンの発行を行ったりしています。
みゆき通り商店街は、終戦後の1955年にアーケード街ができ、店が立ち並び始めて高度経済成長期には人であふれかえるほど賑わったという歴史を持つ商店街です。振興組合の理事長は私で10代目になります。1988年からは15年くらい、大晦日の夜から元旦にかけて「元旦市」というバーゲンセールを行っていました。その後は三が日の餅つきなどを行い、2001年からはイルミネーションを行っています。現在は商店街に19機のイルミネーションをつけて、訪れる人たちに楽しんでもらっています。お客様は神戸のルミナリエにちなんで「ヒメナリエ」って呼んでくださっていますね。

みゆき通り商店街の様子
約70年もの間、商店街が発展し続けている理由を教えてください。
濵本やはり、姫路一番の商店街というブランド力を大切にしてきたことが大きいと思います。「一回はみゆき通りで商売をしてみたいな」と思えるような環境づくりや、イベントを通じてマスコミに取り上げてもらって「みゆき通りって元気なんやな」って皆さんに思ってもらえるよう、努力を続けていますね。その一環として、トリックアートも行っています。
トリックアートは、集客の目的もあります。姫路城へ向かう観光客は、駅から城までまっすぐ伸びる大手前通りを歩きますが、この人たちに商店街を通ってもらうために「メインストリートから一つ横に入ったところにあるみゆき通り商店街にはおもしろいトリックアートがある」と知らせたいと考えて仕掛けました。トリックアートと一緒にインスタグランプリも行っています。トリックアートの写真を撮ってSNSに上げてくれれば、検索にも引っかかりやすくなりますし、商店街のホームページにもリンクすることもできますからね。
トリックアートは特に海外の方に喜んでもらっていて、おかげさまで観光客も増えています。その結果、飲食店の繁盛はもちろんのこと、雑貨店が日本手ぬぐいなど海外の方が喜びそうなものを検討し始めたり、文房具店が絵葉書を店頭に出したりして、商店街にも小さな変化が見られるようになりました。
また同じく組合創立50周年を記念して商店街の販促委員で全国初の子ども委員会を設立し、「僕らはみゆき通り商店街子ども委員会 僕らが繋ぐ未来」という映画を作り、昨年5月に劇場で上映もしました。他にも姫路出身の漫画家で俳優でもある星野ルネさんという方にお願いして、YouTubeで2年間「みゆきチャンネル」を発信したりと、いろいろと工夫しながらPRを行っています。その結果がみゆき通り商店街の発展につながってきていると実感しています。
今はアーケードの老朽化復興や、防犯カメラの修理、雨漏りの修繕など環境づくりのほうに力を入れています。お金をかけての販促はちょっと休憩状態ですね。その代わりに、例えば写生大会をする事業者の方が「絵を展示する場所を貸してほしい」といわれた際には喜んで貸し出すなど、お金がかからない方法で集客を続けています。

1年に数回張り替えられ、数種類が楽しめるみゆき通り商店街のトリックアート(2025年8月12日現在)

1年に数回張り替えられ、数種類が楽しめるみゆき通り商店街のトリックアート(2025年8月12日現在)
みゆき通りの発展がどのように地方活性へとつながっていくと考えていますか?
濵本以前、地域活性化について組合のみんなで勉強会を行ったところ、「一番の活性化は各店の売上が上がることだ」という話になりました。また売り上げを上げるためには、いつもみんなが元気で笑顔でいないといけないという話にもなり、それを持続するにはやはりきちんと世代交代を行うことが大切だという結論になりました。
世代交代については、子どもへの交代もそうですが、これからは地元出身ではない方を迎え入れて交代することも必要になってきます。その際に例えば家賃が高くて店が引き継げないような大きな店舗が空いたら、商店街振興組合が借り上げて、商売をしやすいように小さい坪数にして貸し出すとか、そういう工夫も大切です。家賃の交渉がしやすいように、私たちが店のオーナーさんを借り手に紹介するようなことも時には必要だと思っています。そうやって世代交代をしっかりと行いつつ、みゆき通り商店街を未来へ引き継いでいくことが、地方活性化につながると考えています。

2024.3月 みゆき周年記念映画 試写会挨拶時の様子
個ではなく面として、
インパクトのある販促活動を行い、
「みゆき通り商店街で店を」と
憧れられるような存在に。
濵本さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
濵本商店街振興組合を構成しているのは個々の店の集まりですが、販促に関しては結構な予算が集まるので、個々の店ではできないようなインパクトのある販促活動ができます。要するに、個ではなく面となっていろんな活動ができるわけです。そういう意味では、やはり組合活動というのはやりがいがあります。組合がしっかりしているからこそ、みゆき通りのブランド力を保つことができ、みんながみゆき通りで商売をすることに対して憧れるような存在になれると思っています。
振興組合は、組合員の皆さんから賦課金をいただいていて、それはアーケードの維持管理、修理、販売促進事業、組合運営費などに使っています。すべてはみゆき通り商店街の発展のため、ということをきちんと説明して、納得して賦課金を払ってもらっています。店の入れ替わりが激しいときもありますが、どのような状況になってもこうした組合活動をずっと続けていくことで、商店街の価値が上がり、それが個々の店の商売にもつながっていくと信じています。このことが私にとっても、みゆき通り商店街全体にとってもEVOLUTION×LOVEだと思っています。
10年、20年後はどうなっていたいと思いますか?
濵本これまでみゆき通り商店街は明確なビジョンがなかったのですが、私たちが元気なうちに明確なビジョンを作っていきたいと考えています。これまでは、業種によって、「当商店街では、ふさわしくない」と思われたお店に、若者たちが多く集まったりして、結果オーライな事もあります。ですから今後は新たな業種にも出店してもらうために、いろいろな条件がそろえばハードルを下げる施策も考える必要があります。他の街の商店街のように、半分以上の店が閉まっているようになってしまってからなんとかしようとするのは本当にしんどいです。一発逆転という状況もなかなかないですし、そうなるまでが勝負だという危機感を持ってビジョンを作っていきたいと思います。さらに観光客や、最近この街に増えてきたファミリー層の方々にもっと利用していただけるような商店街になっていたらいいと思っています。
濵本さん、ありがとうございました!みゆき通り商店街にいろいろな仕掛けや仕組みを作りながら、未来へと残していこうと頑張る濵本さんの活動を、今後も応援させていただきます。