空でつながろう

Interview Vol.13 人がつくる町、勝央町
次世代に伝えたい将来と選択肢

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行なっています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第13弾の今回は、岡山県勝央町で、「しょうおう志援塾」や「オープンファクトリー」といった活動を行なっている本行さんにお話を伺いました。

人がつくる町、勝央町 次世代に伝えたい将来と選択肢

イベントで挨拶をする本行さん

人づくりは、まちづくり。

Q.現在の活動を始めたキッカケを教えてください。

本行「町づくり」に関わりだしたのは2015年から。もともと広告代理店の営業として、パンフレットやチラシなどを作っていました。そんな時に、勝央町で「しょうおう志援(しえん)塾」という人材育成の塾が始まることになり、チラシ作成の相談が舞い込んできました。

その時ちょうど各自治体が「地方創生」を課題にしていたタイミングで、勝央町では「人を育てることが、町の発展につながる」という考えから、志援塾がスタートしました。チラシ作りに向けて講座を詳しく見てみると、プレゼンや企画書などの講座もあって自分の仕事にも役立ちそうだったので、受講することにしました。そうすると、同じ町内でも知らない人がたくさんいること、そして受講を通してこの町を良くしたいと思う人が多くいることに気づきました。そして転機となったのは、最後のプレゼン大会。勝央町の魅力を発信する方法についてでした。勝央町は大手企業の工場が多いことから、企業と連携して勝央町を「職業体験の町」としてPRするといいのでは?と考えていました。それをプレゼンしたところ、自分でもびっくりですが、優勝という結果を残せました。これが、自分が地域のために何か行動しようと思う、大きなキッカケになりました。

人がつくる町、勝央町 次世代に伝えたい将来と選択肢

オープンファクトリーでのもち投げ時の様子

Q.勝央町のために活動する熱意は、どこから?

本行まずは、自分の子どものためです。2015年当時、子どもたちは小学生でした。子育てする中で、自分の子だけでなく勝央町に住む子どもたちのことも考えるようになりました。子どもたちの将来のために、町をもっと良くしたいと思ったのです。僕は昔から、父が公務員だった影響もあり母から「将来は公務員になれ」と言われ続けてきました。そのため何も考えず、高校も普通科、大学も総合大学に進みました。でも両親が離婚した時、「もっと小さい時に他の選択肢を知っていたら、選択肢が広がったのではないか」と気づいたんです。そんな経験もあって、子どもたちには小さい頃から視野を広く持って将来を考えてほしい。そんな想いでスタートさせた職業体験ができる「オープンファクトリー」が、そのキッカケになればと願っています。

もちろん勝央町自体の魅力も大きいですよ。勝央町は人口1万1000人くらい。誰かを介せば会いたい人に会える、そんな距離感の町です。それに町長室がオープンで、町民がふらっと町長室に入って喋っているという光景をよく見かけます。住民同士の距離が近く、声を上げると実現に向けたサポートをしてくれる環境があるからこそ、勝央町でのまちづくりに意義や、やりがいを感じています。

Q.会社に勤めながら様々なプロジェクトに携わっていらっしゃる経緯や、活動内容について教えてください。

本行私は会社に勤めながら「株式会社勝央体験ファクトリー」という会社を創業しました。企業に協力を依頼する際、実現したいという本気度を分かってもらうために会社を作ることにしたのです。このほかにも会社の設立をキッカケに、色々な取り組みが生まれました。活動を通して「自治体に丸投げするのではなく、自分たちで勝央町を良くしよう」という想いを持ったメンバーが集まり、2017年には「しょうおう志援協会」を設立。勝央町とも連携し、町からの委託を受けて勝央町に関わるプロジェクトの運営も行なっています。現在、「しょうおう志援協会」は一般社団法人化し、30名ほどの町民が他の仕事をしながら勝央町のために動いています。

勝央町で活動していて思うのは、「人が町をつくる」ということ。「人のために」「地域のために」何かしようと思う人が増えるほど、町はどんどん変わっていくのです。そうすればまた、その想いに共感する人がつながり、新しい動きが生まれる。そんな「町づくり」の動きを感じています。

人がつくる町、勝央町 次世代に伝えたい将来と選択肢

まちづくりサロン参加者の皆様

同じ想いと目的、それぞれの役割で町の活性化

Q.あなたにとってのEVOLUTION × LOVEとは?

本行しょうおう志援協会を立ち上げた時、メンバーたちの向く方向を揃えることに難しさを感じました。営利を優先する人、起業家を育てたいという人、あるいは福祉やボランティアをしたい人など目指したいゴールがバラバラで、分裂しかけたことも…。でも、突き詰めると結局、「勝央町を活性化させること」という軸はみんな同じでした。

だから、それぞれの想いを否定しないことを、自分の中の約束事にしました。営利目的の活動でも運営をボランティアが担うこともあるし、福祉系のプロジェクトを長期的に走らせるためには、営利的な観点も必要。スポーツや芸術に詳しい人が必要になる時も、いつか必ず来るはず。一見方向性が違っても、どこかのタイミングでそれが繋がって、さらに素晴らしいプロジェクトになると思うのです。勝央町での活動を通して目的をみんなで共有し、「多様な考え方への理解」や「まずは否定しない」ことの大切さを知れたことが自分にとってEVOLUTION × LOVEでした。

   ありがとうございました!人を育てることが、町の活性化や進化につながるという事例を数多く実現されてきた本行さん。勝央町が今後どう変わっていくのか、子どもたちの将来をどう応援していくか楽しみです。今後の本行さんの活動にも注目しつつ、微力ながら応援させていただきます。