空でつながろう

Interview Vol.141 マザーレイク・琵琶湖をモチーフにした
キャラクター「びわけん」で
滋賀県をもっと盛り上げていきたい!

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第141弾の今回は、滋賀県米原市でWEB制作会社を運営しながら、キャラクター「びわけん」を通して滋賀県を盛り上げようと活動を行っている澤渡健太郎さんに話を伺いました。

マザーレイク・琵琶湖をモチーフにしたキャラクター「びわけん」で滋賀県をもっと盛り上げていきたい!

澤渡健太郎さん(photo by 早川雄志)

フランスで出会ったアートやデザインの数々。
その素晴らしさに衝撃を受け、
自分も作り手になることを決意。

現在の活動について教えて下さい。

澤渡滋賀県米原市でWEB制作会社「ベストアンサー株式会社」を運営しています。企業などクライアントから依頼を受けてWEBの制作を行っているほか、滋賀県の琵琶湖をモチーフにした犬のキャラクター「びわけん」を考案し、びわけんを使ったグッズの制作や販売も行い、滋賀県を盛り上げようと頑張っています。

マザーレイク・琵琶湖をモチーフにしたキャラクター「びわけん」で滋賀県をもっと盛り上げていきたい!

「びわけん」のデザイン(photo by 早川雄志)

米原市で活動することになったきっかけを教えてください。

澤渡僕は滋賀県生まれで、大学は早稲田大学に進み、フランス文学を専攻しました。でもその時は将来何になりたいとか全然なくて。今後の進路を考えた時に、就職してサラリーマンになるというのは自分として何か違うなあと感じていました。2年の夏休みにフランスへ語学留学して、日本にはない美しいアートやデザインに触れて、「アートや癒やしが日常にある環境っていいなあ」と。もともと自分でできることを見つけて将来的に独立したいという思いもあって、作り手側になりたいと考えるようになりました。

ちょうど将来どうしようかと考えていた時期でもあったので、半年間大学を休学して、その間に将来についていろいろと考えました。で、やっぱりデザインをやりたいと思い、京都・嵯峨嵐山にある美術短大に転入しました。美術系の高校に行っていたわけではないのですが、趣味で撮った写真やイラストレーターで作った作品を面接の先生にプレゼンしたら、入学させてもらえて。そこで2年間デザインの勉強をしました。

卒業後は、社会人経験も積みたいと考えてデザイン系の会社に就職し、WEBディレクターとして仕事に励みましたが、16ヶ月ほどで辞めて「ベストアンサー」という屋号で個人事業主として仕事を始めました。その頃、ちょうど大学時代から手伝っていた会社の社長が法人化をやめて個人事業主に戻るから会社を引き継いでほしいといわれ、2019年に引き継いで「ベストアンサー」に登記変更をしました。

東京は働くにはすごくいい環境だと思うのですが、山があって湖があるのが当たり前の環境で育った僕にとっては息苦しい場所でしたね。滋賀県に帰ってきたときに、「やっぱりこの環境が合う」と実感して(笑)。米原を拠点に選んだのは、当時まだ24歳で右も左もわからないような自分をサポートしてくれるインキュベーション施設があったからです。

滋賀県を盛り上げようと思ったのはなぜですか?

澤渡東京での大学生時代に、それぞれの出身について話したことがあり、「滋賀県」と答えたら「どこ?」「確か琵琶湖が県の9割くらいあるんだっけ」っていわれて、ちょっとショックでした。その頃から、デザインの力でなんとか滋賀県の知名度を上げられないだろうかと考えていました。みんなが知っている琵琶湖を使って愛着のあるアイコン的なキャラクターを試作する中で、「びわけん」が生まれました。

周りに見せたら「かわいい!」と盛り上がってくれたので、グッズを作ったところ、地元の土産店や道の駅で置いてくれるようになりました。滋賀県を盛り上げたいという気持ちはもちろんですが、「びわけん」を通して癒やしも広がったらいいなとも思っています。

マザーレイク・琵琶湖をモチーフにしたキャラクター「びわけん」で滋賀県をもっと盛り上げていきたい!

「びわけん」をモチーフにしたお土産

活動を始めて変化したことはありますか?

澤渡びわけんの着ぐるみを作るクラウドファンディングを募ったところ、100万円達成できました。そこからいろいろなイベントに出させていただいているおかげで、この1年でびわけんの知名度が一気に上がったと思います。滋賀県で国スポが行われた時は、米原市と一緒にホッケーを盛り上げる企画を高校生とやりました。滋賀県で行われたイナズマロックフェスや関西万博にも出させていただきましたね。着ぐるみでイベントに出ると、大人も子どもも笑顔になってくれる。その癒やしの輪が広がっていく感じがいいと思っています。

また、他の市町のキャラクターと違って、びわけんは滋賀県や琵琶湖など、どこでも使ってもらえるし、民間企業が勝手にやっていることなのでフットワークも軽く、いろいろなコラボができます。そのおかげで、グッズの売り上げが1年で約5倍になり、取り扱い店舗も3倍に増えました。それは大きな変化だと感じています。

マザーレイク・琵琶湖をモチーフにしたキャラクター「びわけん」で滋賀県をもっと盛り上げていきたい!

「びわけん」の着ぐるみ

人々に癒やしをもたらす存在として
「びわけん」を国内外に広めていきたい。

澤渡さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

澤渡学生時代にフランスへ行って、デザインやアートに衝撃を受けて自分も作り手になりたいと思ったことは僕の人生において一つの進化でした。実際に作り手となって、滋賀県に対する愛をデザインで表現してびわけんを生み出したこともまた僕にとってのEVOLUTION✕LOVEです。滋賀県民にとって琵琶湖は癒やし。でも同じ滋賀県でも住んでいる場所によっては琵琶湖をしょっちゅう見られるわけではありません。そういうところにも、キャラクターの力で笑顔や癒やしをもたらすことを、さまざまな形で続けていきたいです。

マザーレイク・琵琶湖をモチーフにしたキャラクター「びわけん」で滋賀県をもっと盛り上げていきたい!

大阪万博に「びわけん」も参加

10年、20年後はどのようになっていたいですか?

澤渡滋賀県をさらに盛り上げていくために、今後は海外にもびわけんを広げてもっともっと進化していきたいと思っています。2040年にはさまざまな職業がAIに代替されるといわれる中でも、キャラクターは歴史的な部分も含めてなくなりにくいといわれています。人口減少や生産性の低下などが課題になっている日本において、ゆるキャラで外貨を稼ぐということは、個人的には今後産業として必要になってくるのではないかと考えています。アニメやキャラクターのようなカルチャーが主役になってくるのでは、と思いますね。そうなった時に可能性は広がると思うので、まずは滋賀県や県外での認知をもっと広げて、グッズのクオリティも高め、数も増やしていけたらいいと思います。いろいろな企業とタイアップしたり、というようなことができていたら嬉しいですね。

澤渡さん、ありがとうございました!デザインやクリエイティブの力で滋賀県の認知度をもっと高め、地域に貢献していきたいと日々の制作活動を行う澤渡さんを、今後も応援させていただきます。