Interview Vol.142
自分が「楽しい」と思えることや
やってみたいことの選択肢がある地域にするために
福井県敦賀市で人と人をつなげる活動を展開。
EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第142弾の今回は、福井県敦賀市でワーケーションの会社を運営しながら、行政のDX推進や人材育成など幅広い活動を行う後藤美佳さんに話を伺いました。
後藤美佳さん
自分がありたい姿で
働きたいと願い、
会社員時代から自ら学び、独立。
現在の活動について教えて下さい。
後藤福井県敦賀市で起業者を増やすためにコワーキングスペースやゲストハウスを有するまちづくり会社「合同会社FUJIONE」を運営しています。また、女性のチームで「合同会社FTJlab」も運営し、人材育成や、自治体DXの研修設計や講師、ファシリテーターなども行っています。FUJIONEとしては行政と連携して「敦賀をひろげるプロジェクト」にもコネクターとして携わり、現在は4期目の敦賀のディレクターを務めています。敦賀新幹線開業の際は、首都圏からのプレイヤーを集めて企画をおこない関係者人口づくりにも尽力しました。
「敦賀をひろげるプロジェクト」の皆さんと。
「敦賀をひろげるプロジェクト」の様子
敦賀市で活動することになったきっかけを教えてください。
後藤10歳のときに家庭の事情で北海道帯広市から福井県敦賀市へ引っ越してきました。北海道の帯広には方言があまりないのですが、こちらへ来て、小学校の友達に「おめえなまっとるでよう」と方言でいわれて衝撃を受けましたね。自分と違う言葉を話す人に対して「なまっている」という表現を使う人に子ども心に恐怖を覚えたというか、社会を知らずに人にマウントを取る人間に対する“井の中の蛙”感にショックを受けました。そのため、子供を生むまでは福井のことが苦手でしたね。
地元の高校を卒業して、大阪の短大へ進み、サークルでバンド活動に励みました。ライブもやって。でも私の場合は母子家庭だったので、母のことを考えると地元に帰らなくてはいけないと思っていたため地元に戻って、エネルギー関連の会社に就職しました。最初は1年で辞めるつもりだったのですが、結婚もして出産もして、気づけば22年間その会社で働いていました。
敦賀市であまりないキャリアで活動するキッカケとなったのは、自分が出産後、子どもという世界一尊い存在を目の前にした時に初めて、私自身も大人としてどうなのか?を考えるようになったからです。業務改善提案等で評価されることもありましたが、仕事のことや働き方など会社に違和感を感じ始め出して、制度面の根本的な改善につながることは少なく、会社へ「やりがい」を期待することをやめました。また、母の老後の経済面についても考えていました。母は自営業だったため、私が稼がないと母の面倒が見られないという別の危機感もありました。もちろん勤めていた会社で生計を立てることはできますが、ただこのままだと自分がありたい姿で働くことはできないと思っていたので、もっと自分の選択肢を知るために会社外でいろんな人と会いました。最初はまちづくりに関するコミュニティに入ったり、女性起業家の講座を受けるなどを行いました。外に学びに行くと、メンターのような人に出会う機会があり、新しいキャリアを考えるきっかけが生まれました。最初はリモートで秘書のようなことをして、次にプロジェクトのアシスタントを務め、その次の3ヶ月でプロジェクトマネージャー、次に講師というようにステップアップし、チャンスをすべてものにできるよう頑張ってきました。会社員として働いていた時よりもプレゼンの仕方や言葉の使い方がリモートで働くことによってかなり上達しました。
FUJIONEの施設内
地域との関わりはいつからでしょうか?
後藤最初の地域との関わりは、地元JC主催のまちづくりに参加しよう!というプロジェクトに入ることでした。イベント企画を一つ最後まで完遂しました。また在職中の2020年に、福井県主催の「県民ワクワクチャレンジプランコンテスト女性部門」に採択されたことがきっかけで、女性リモートワーカーを育成する「ふくいテレワーク女子」という任意団体を立ち上げました。
地域商社「FUJIONE」を設立したのは2021年8月です。私以外は全員不動産や工務店、福祉関係の男性社長で構成されています。空き家となった銀行を買い取って、コワーキングスペースとゲストハウスを作りました。この施設は、起業家を育てたり、新しいことを始めたい方々を支援することを継続しておこなうことを目的として作りました。何かを学んだり、外から招いた人たちと一緒に、地域の人たちが活発にコミュニケーションを取れる場にしていきたいと思っています。
2024年にはふくいテレワーク女子で育てたコミュニティメンバーで「合同会社FTJlab」を設立し自治体DX事業の人材育成や企業のブランディング事業を行っています。
FUJIONEの屋上にて
活動を始めて変化したことはありますか?
後藤私個人が第1期のメンバーとして関わっていた敦賀をひろげるプロジェクトについてお話しします。4期経った今では事務局運営側として私は関わっており、その中でまちづくりプレイヤーのマインドやスキルの育成を行っています。現在4期となり、それまで1期から3期の多くのプレイヤーが「やりたいこと」を発表したり、地域活動やイベントを行ってきました。同じまちにいても話すことがなかったメンバー同士が突然チームを組んで自分たちのやりたいことを探究する活動を経て、別の活動に波及したり、お互いを助け合える関係性を育めています。
その中での私の役割は、皆さんに「これもできるし、あれもできる」という事例を並べて見せること。自分だったら何ができるだろうと考えるきっかけを作り、まず一歩踏み出してもらうことができればいいと思っています。その結果、地元の人たちが、それぞれに「楽しい」と思えることに時間が使えるようになればいいと思っています。仕事だけじゃなくて、やりたいと思うことをやれる、いつでも話ができる隣人のような人がいる、そんな場所を1つでも増やしていければいいですね。私の想いに共感し、変わろう、面白いと思ってくれる人たちが集まる居場所、サードプレイスができた。そういう意味では街の新しいコンテンツになっていると実感しています。
後藤さんにとっての地域活性を教えてください。
後藤「出る杭を増やす」ということでしょうか。これはできない、あれもできないではなく、これをするためにはどうしよう、と考えて行動する人が一人でも増えることが地域活性につながると思っています。「地域の選択肢が増えて、選択する機会を増やす」ことで、自発的に情報を得ることができたり、勉強できたりする環境が地域にあるづくりが大事だと思っています。
私がまちづくりに関する会社を立ち上げたのは、閉鎖的な環境で子どもたちの選択肢が減らされるのが嫌だったからです。「FTJ lab」と名付けたのも、社会全体を研究しながら、ひとつでもその選択肢が増えるようにみんなでしていきたいという想いからです。個の選択肢が増えることが、地域を活性化していくのではないかなと考えています。
「合同会社FTJlab」メンバーの皆さん
さまざまな選択肢が
当たり前にある地域にするために
ひとりひとり自分の価値に気づいてもらい、
つなげていきたい。
後藤さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
後藤人間にとっていろいろな選択肢が当たり前にある地域にしたいと思っています。これまでの私の人生経験から思うことは、少し言葉として重たいですが「死と言う選択肢を選ばないでほしい」ということ。やらされている、と思いつづけると辛くなってしまうので、自分から選択し、責任を持って自発的に何かしらをチャレンジしてもらえたらいいなと考えています。そういう人が増えたら、まちも人も自然に変化しますし、私自身も変化していきたいと思っています。
今後についてですが、私個人としてはもっと国外での経験値を積みたいですね。国外の文化を深く学ぶことで、日本の価値をさらに世界へ広められるような活動をしたいです。それには私が今やっていることを任せられる人を増やしていくことが大事だと思っています。私が4年かけて、クモの巣のように活動を広げてきたことを軸に人をさらにつなげていきたいし、発信していきたい。どちらかというと、私の場合は今や未来をよくするために愛を振りまいていく、LOVE×EVOLUTIONかもしれません。

後藤さん、ありがとうございました!自分のやりたいことに責任を持って自発的にできる人が一人でも増える地域にしたいと思いながら幅広い活動を行う後藤さんを、今後も応援させていただきます。