空でつながろう

Interview Vol.143 さまざまな介護福祉事業を展開し、
南九州市を「住みたい」「安心して暮らせる」街に。

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第143弾の今回は、鹿児島県南九州市で福祉事業を中心に多彩な活動を行い、地域住民の相談窓口などさまざまなコミュニティハブとなって活動する中迎聡子さんに話を伺いました。

さまざまな介護福祉事業を展開し、南九州市を「住みたい」「安心して暮らせる」街に。

中迎聡子さん(写真右)

介護を通してさまざまな人たちの
課題解決に取り組むうちに事業が拡大。
「いろ葉があってよかった」といわれるように。

現在の活動について教えて下さい。

中迎株式会社いろ葉を運営し、小規模多機能型居宅介護や訪問介護などの介護支援事業を行っています。また障害者の就労支援や、子育て支援事業、介護タクシー事業やシェアハウス、レンタルキッチン、レンタルスペースの運営も行っています。

南九州市で活動することになったきっかけを教えてください。

中迎もともと福祉が学べる短大へ進学しました。とはいえ、特に福祉を学びたいと思ったわけではありません。福岡にある短大だったので、都会へ出てみたいという気持ちもあって行きました。卒業後は事務職に就いたのですが、苦手だなと思ったので、その後は建築系の仕事について。でもなんか違うなと思ってフリーターになり、いろいろな仕事をする中で「自分に向いていないと思う仕事をやってみよう」と考えて介護の道に入りました。老人ホームで3年間働き、自分が理想とする介護を求めて10年ぐらい全国に修業に出ようと考え、辞める準備をしていた矢先に最初の事業所となる物件を見つけてしまって。10年後にあったらいいなあと思うような理想の物件に出会ってしまったわけですね。それで2003年に株式会社いろ葉を立ち上げました。

特に独立したいという気持ちがあったわけではなく、でも自分で自分の人生を切り拓きたいとはいつも考えていました。雇われていても、自分が自分でいられるのならそれでよかったのですが、そういう場所がなかった。じゃあ自分が作るしかないと考えて会社を立ち上げました。

多種多様な事業を手掛けるようになった経緯を教えてください。

中迎この仕事をしていると、例えば高齢者のおうちへお迎えに行ったりするじゃないですか。そういう時に、一人暮らしのおばあちゃんを見守っている地域の人とか、おばあちゃんの孫とか、子どもとか、周囲の人たちと話していると地域が抱える課題が見えてきます。みんなが心地よく暮らせたらいいな、そんな街になったらいいな、という思いで、高齢者だけではなく色々な課題を抱える人のお手伝いにも取り組むようになりました。その結果、就労支援や学童、子育て支援事業、子育て世代のお母さんたちの学びの場とかを作ることになって。気がついたら、地域全体にいろいろな場を作っていったという感じですね。

また介護の仕事をしていると必ずお看取りがあります。例えばおばあちゃんがその日まで暮らしていた家がありますよね。でもご家族は遠くに住んでいる。じゃあこの家や庭の世話は誰がするの?となって、時には私たちが一旦お預かりをすることもして、南九州市へ移住してくれる人に「お試しでここを使ってみたらどう?」とアテンドしたりすることもしたりしています。

こうしたことがクモの巣のように南九州市全体に広がって、いろいろなところでいろいろな人が活動するようになって、さらにたくさんのネットワークが広がりました。自治体との連携も大切にしています。最初は、役所の人たちにとって私は「また余計なことをいうやつが来た」「関わると面倒くさい」という存在だったのですが、ずっとおかしいことはおかしいと言い続けてきて20年経ってみると、逆にあちらから「どう思います?」と相談されたり、意見を聞いてくれたりするようになりました。ここ3年くらいは行政との連携もかなり多いです。

企業してから変化はありましたか?

中迎いろ葉には、年間数百人もの方が施設見学にいらっしゃいます。県外からいろいろな人が来てくれるから、少し風通しがいい街になってきたような気がします。最初は「あの子たち何やってるんだろう」という存在でしたが、ただただ活動をしっかりやってきたおかげで、今は「とりあえず何かあったらいろ葉に相談しよう」「いろ葉があるからここに移住してこようかな」と思ってくれる人も増えたと思います。そういう意味では、私たちがただの変わり者から「自分たちを気にかけてくれるチーム」という存在に変わり、「いろ葉さんがいるから」と協力してくれる人も増えて、いろいろな業種の人たちがつながり合う場が生まれました。

私は、災害があっても何があってもこの街だったらなんとか生きていけるという、シンプルに安心して暮らせる街にしたいと思っています。この街には特別なものもないし、すごい企業があるわけでもない。でもここで暮らす人たちがうまくマッチングしていろいろなことをするだけでいいエネルギーが生まれている。こういう街の形はここだけではなく、世界中で実現できるのではないかと思っています。

さまざまな介護福祉事業を展開し、南九州市を「住みたい」「安心して暮らせる」街に。

施設利用者さんとお墓参り

中迎さんにとっての地域活性を教えてください。

中迎街の特性を活かすこと、流行に乗らないことですね。人と同じで、街も個性がなくなるとキラキラしないけれど、個性があれば唯一無二の存在になって心地よい街になる。そこを大切にするために、自分の街をもう一度足元から見直すことが活性化につながると考えています。

さまざまな介護福祉事業を展開し、南九州市を「住みたい」「安心して暮らせる」街に。

「いろ葉」で販売するドリップコーヒーのパック

自分の人生を100%楽しむ。
どんな仕事も活動も、いつでも自分が原点。

中迎さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

中迎私は子どものころから楽しいことが好きで、大人になったら面白いと思わない仕事でも我慢して働かなくてはいけないのかなとずっと疑問を抱いていました。そんな時に母が保育園の先生とやり取りをしていた手帳を見つけて。それを読んだときに、大人たちは喜びにあふれた人生を生きてほしいと願って私を大切に育ててくれたんだと実感しました。それなら私は、私を一番楽しんで、自分の人生をまるごと生ききっていこうと思いました。とにかく100%楽しもう、自分を嫌いだと思わないで生きたいように生きよう、仕事も私の頭と心を通してやっていこう、と決意しました。

私が介護の仕事をやり始めた最初の気持ちは、お年寄りをないがしろにする自分が嫌いだから。私は、自分が嫌なことをしたくない、最低な人間になりたくない。だからいつもお年寄りに対して丁寧に接したいし、声をきちんと聞きたい。そうやってその人のエネルギーを汲み取っているうちに、気がついたら愛しい人だったり気になる人になっていっているんですね。私の中の原点はやっぱり私であり、私を軸にどんどん進化していく。それが私の“EVOLUTION✕LOVE”です。

さまざまな介護福祉事業を展開し、南九州市を「住みたい」「安心して暮らせる」街に。

施設利用者さんとスタッフの皆さん、中迎さん

10年、20年後はどのようになっていたいですか?

中迎私たちの老後に安心できる介護があるようにするためにはもっと頑張らないと間に合わないと思って、同業者の人たちと仲良くなって情報をシェアする活動を行い始めました。私自身は明日死んでもいいくらいの気持ちで毎日を生きているので、今の自分も楽しみだし、10年後の自分も楽しみだと思いながら頑張っています。

今は皆さんに「いろ葉があってよかった」といってもらえていますが、10年後、20年後には「いろ葉」が必要ないくらい、お互いに思いやり、助け合える世の中になっていたら嬉しいですね。

中迎さん、ありがとうございました!自分が生きたいように生きることを大切にし、周りの人にもそのエネルギーを注ぎながら精力的に活動を行っていく中迎さんを、今後も応援させていただきます。