Interview Vol.145
山口にもう一度維新を起こして
日本を動かすエンジンとなる場所に。
EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第145弾の今回は、山口県山口市でコンサルの会社を営み、これまでに県の施策「やまぐちヘルスラボ」の運用実行にも携わってきた中村真二さんに話を伺いました。
年輩の人たちの伝統的な知恵と
若い人の革新的な考えを
つなぐことが地域活性化に。
現在の活動について教えて下さい。
中村山口県山口市で合同会社トラストリードの代表を務め、企業の課題解決や経営計画作成、事業支援、行政の施策の実行支援などを行っています。これまでに、山口市産業交流拠点施設KDDI維新ホールの副館長代理も務め、山口県の施策である「ヘルスケア産業振興」を実現するための「やまぐちヘルスラボ」の企画や運用実行にも携わってきました。
KDDI維新ホール
山口市で活動することになったきっかけを教えてください。
中村大学4年の時に就職活動をほとんどしていなくて、「就職情報」という本を見ても、どこに就職するとかピンと来ていませんでした。その時、本の発行元である株式会社リクルートの名前を見て「こういう情報を取りまとめている会社だからたぶん立派な会社だろう」と思い、面接を受けて1985年4月に入社しました。最初は通信事業の立ち上げや事業企画に携わり、その後はフロム・エーという求人誌の創刊や、その販社の設立にも関わりました。8年間働いて、その後は日本テレコムで12年、KDDIで6年、エイブルで6年勤務しました。当時はどの企業も成長の一途をたどっていたので、いいタイミングで在籍できたと思っています。またご縁があり、複数社の経営に関わることになりました。現在は、関東の1社はすでに退任して後任に引き継ぎ、私はオーナーとして関わっています。関西の1社は代表取締役を務めています。なお、神奈川に取締役として名を連ねている会社もありますが、実務には携わっていません。
山口市に来た直接のきっかけは、妻の故郷がこちらだったから。妻は一人っ子で、いずれは戻る予定でした。2019年頃に、新山口駅前にKDDI維新ホールを建てるということになり、そこに「やまぐちヘルスラボ」という施設を作るという話が浮上して。もともと知り合いだった山口県庁の方の紹介でここの仕事をさせていただけることになり、2020年に移住しました。その時にKDDI維新ホールの副館長を務められていたのは東京の方でしたが、2週間に1回ほどしか来られなかったので、副館長代理も務めることになりました。維新ホールには創業支援のスペースや仕事センターがあり、中小企業を支援する財団も入っているので、やまぐちヘルスラボと副館長代理の仕事をしているおかげで地元の企業と結構コミュニケーションを取ることができましたね。そのタイミングで「県内に法人を作ってほしい」と依頼されて、合同会社トラストリードを立ち上げました。
私は人が好きなので、なんかこの人面白いなと思ったら仕事抜きでもコミュニケーションを取ったりします。その蓄積からいい機会を提供していただくことが多い。今この状況があるのは、人脈がすべてだと思います。
起業してから変化はありましたか?
中村経営コンサルを行う側の視点で見ると、コロナ禍での厳しい経営で力尽きて倒産する企業も多いのですが、その中でも頑張っている企業は目が外に向いてきていると感じています。これまで県内だけで商売されていた企業が、他の圏域の顧客をどう確保するかと考え始めているように思いますね。ビジネスの視座が高くなったと思います。以前は、地域を活性化したいという思いは同じでも、やろうとしているのはカフェのようなスモールビジネスが多かったのですが、最近は見ている先が最初から全国だったり海外だったり、もう少しビジネスインパクトが大きい方向へと変わってきている気がします。ただ、行政がまだそこに追いついていない。これまでの地方は行政が道を作ってみんながそこを走る、という形だったと思いますが、民間側が器用になってきていて、うまく行政を利用しながら我道を行く、という感じになってきています。行政がそこを理解してきちんとサポートできるようになれば、さらにいい変化が起こると思います。
山口市は行政と民間の距離がすごく近い。でもまだ民間側が行政の理論を理解していない。
例えば「あの建物無駄に見えるけれど、なんで建てたのだろう?」とか。しかしそこには行政なりの理論がある。例えばKDDI維新ホールにある創業支援施設を運営しているのは首都圏の会社です。なぜ地元に受託させないのか?と民間側は思うかもしれませんが、そのおかげで、首都圏で最前線を走っている人とかを引っ張ってきて刺激を与え、変化を起こしています。またコンサートホールではビッグアーティストがライブを行ったりしている。こうした地域の変化を民間側が理解する必要はあると感じています。
中村さんにとっての地域活性を教えてください。
中村地域活性化は大切ですが、例えば山口県下すべての地域が活性化するのが正解なのか?と疑問は感じています。そろそろ選択と集中ということをしないとエネルギーもリソースも分散されてしんどいかな、と。地域活性化については若い人だけではなく年輩の方でも意外と考えている人は多いですが、そこをつなぐ仕組みがない。伝統的な知恵と若い人の革新的な考えをきちんとつないでいくことが地域活性化の兆しになると思います。
山口は、日本の歴史において大きな動きがある時に登場している場所です。そのせいか、山口ではいたるところで「維新」という言葉を聞きます。維新とは、今までの常識や古い習慣を排除して革新すること。山口は過去にそれを成し遂げているので、もう一度維新して、日本を動かすエンジンにならなきゃいけないと思っています。
KDDI維新ホール内で行われる「未来共創ラボ」の様子
各企業がコンサルを必要とせず、
独自で動ける世の中にしたい。
中村さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
中村リクルートで積んだ経験や仲間が今も続いていることを考えると、やはりリクルートに入社したことが自分のターニングポイントですね。
私は人が好きで、興味があれば積極的にコミュニケーションを取るほうです。見返りをまったく考えずにいい関係を続けていたりします。その結果、今のクライアントのほとんどは紹介ばかり。15年くらい前に知り合った人で10年くらい連絡を取っていなかったのに、突然仕事を依頼してくる、ということもあります。私は今、そのご縁に乗っている。今後、それがどのように“EVOLUTION✕LOVE”へと変化していくか、楽しみにしているところですね。
KDDI維新ホール内で行われる「未来共創ラボ」の様子
10年、20年後はどのようになっていたいですか?
中村今はコンサルの会社を経営していますが、将来的にはコンサルを必要としない世の中にしたいと思っています。各企業がコンサルを必要とせずに独自できちんと動けるような世の中にしたい。今は「あの街がこうしたからうちもやろう」と全国横並びのような感じがしますが、10、20年後には各地方行政も「いや、うちはこれでやります」という感じで個性が出せるようになればいいなと思います。個人的には、仕事を引退した後に、「あの仕組みは俺が作ったんだよね」と戯言をいえるようになっていたいですね。

中村さん、ありがとうございました!いろいろな人とコミュニケーションを取りながらご縁を大切にし、人と人、民間と行政の間をつないで地域を変えていきたいと活動する中村さんを、今後も応援させていただきます。