Interview Vol.160
沖縄県那覇市のコワーキングスペースを
人、情報、コトが集まりつながる交差点に。
EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第160弾の今回は、沖縄県那覇市でコワーキングスペースを運営しながら、コミュニティの活性化に力を注ぐ押切加奈子さんに話を伺いました。
押切加奈子さん(写真左から2番目)
東京での仕事を通じて
沖縄とつながり、
新プロジェクトの一員に。
現在の活動について教えて下さい。
押切沖縄県那覇市で、建設業の「株式会社福地組」の社員として、福地組が営むコワーキングスペース「HAVE A GOOD DAY」の運営に携わっています。
今の活動を行うことになったきっかけを教えてください。
押切もともと東京出身で、警察官の両親のもとに生まれました。仕事柄父は厳格で、私には「こういうふうに育ってほしい」という理想があったようです。けれど私は自分にしかできないことをずっと模索していましたね。父は国立大学進学を希望していましたが、日本大学で演劇や舞台制作を学びました。
大学卒業後は専門学校で会計を学んで企業に就職しましたが、人と人をつなげることや人が集まる場所を作ることに興味があり、「ブックカフェ『BOOK LAB TOKYO』のコミュニティマネージャー募集」という投稿に惹かれ、転職しました。そこには100人ほど入るイベントスペースがあり、毎日何かしらイベントを主催したり、イベント主催者さんたちとやりとりをしているうちに一気に人とのつながりが増えて。そこでイベントやコミュニティのプラットフォームを運営する「Peatix Japan」の方と知り合い、コミュニティを大切にする仕事に魅力を感じて転職しました。
その後、「Peatix Japan」の仕事で沖縄の仕事に関わり、東京と沖縄を行き来している間に沖縄の人たちともつながって。ワーケーション、二拠点生活を経て、沖縄へ移住しました。
福地組へは、新プロジェクトの一員として入社しました。
建物やインフラをつくってきた建設会社だからこそできる、“場づくり”への新しい挑戦です。
三代目社長が踏み出したその大きな一歩から生まれたのが、まちと人をつなぐコワーキングスペース「HAVE A GOOD DAY」です。
結婚した後、他県で出産をしたのですが、やっぱり子どもと一緒に沖縄で暮らし、仕事をしたいと思って沖縄に戻ることにしました。福地組がコワーキングスペースを立ち上げることは知人から聞いていて、このスペースに足を踏み入れた瞬間にワクワクして「この空間が好き」と感じました。築37年の古いビルですが、今まであったものを遺しつつ、新しい価値観を入れるそのかけ合わせができないかとチャレンジを続けています。東町ビルがある那覇市東町は、かつては海の玄関口として賑わっていましたが、今はすこし閑散としています。「HAVE A GOOD DAY」があり、私たちがいることが、さらにワクワクのあふれた素敵な街になっていく起点のひとつになれたらと思っています。
コロナ禍もきっかけとなり、県内にコワーキングスペースも増えたように感じます。その空間のなかに「ひと」がいることがとても大切になる、建設会社の福地組がそこに着手していることもとても意味のあることだと、日々意識して取り組んでいます。
HAVE A GOOD DAY2周年パーティーにて
活動を始めて街に変化はありましたか?
押切「HAVE A GOOD DAY」は2023年にオープンして3年目。このエリアでお仕事されている方とのつながりも増えてきました。例えば県内で事業継承して頑張っている人とデザインで表現をすることに力を入れている方をつないだところ一緒に仕事をされるようになり、「事業の幅が広がりそう」と嬉しい報告をいただきました。またコワーキングスペースに入居してくださる企業さん、フリーランスの方々も増えています。このコミュニティをもっと活性化しながら、この街に来てくれる人をもっと増やしていきたいですね。
活性化を考える企画のひとつとして、東町ビル内の飲食店さんや「HAVE A GOOD DAY」の入居者さん、近隣のコワーキングスペースの運営者さんなどが集まって街を掃除しながら街について考える「まちクリーンサークル」もスタートしました。掃除をしながら「この街って奥が深いね」と会話が生まれています。さらに「HAVE A GOOD DAY」のインターン生が主体となってマルシェを開催したところ、東町や西町エリアを中心としたお店さんたちがたくさん出店してくださって、当日は約450名の方が訪れてくれました。「このまちにこんな店があったんだ」と新たな発見につながったと思います。このように自分たちから街に出ていく取り組みも積極的に展開をしていて、これからもっとやっていきたいと考えています。
押切さんにとっての地域活性を教えてください。
押切まず私たち自身がこの街をより好きになり、知ることは大前提として大切なことだと思っています。またこの街を気に入った人が「HAVE A GOOD DAY」やこの街に新しく店を作るとか、このエリアのホテルに泊まる人が街を周遊して楽しめるようなスポットが増えたらいいと思っています。
沖縄は、起業家精神を持つ人を増やしたいという取り組みがたくさんあります。そういうプログラムを実施している方と一緒にこの場所を活用していこうというプロジェクトも始まっています。また近隣の学校関係者の方とも少しずつコミュニケーションが取れるようになってきました。私たちだけのスキルではなく、つながった人同士をまた他とつなげたりしながら、ここをいろいろな価値観に触れられる場所にしていきたい。自分も他のスタッフも楽しめて、やりたいことを持っている人たちが「これをやりたい!」っていえるような空間になれたら、地域活性にもつながるのではないかと思っています。
まちクリーンサークルの様子
「ここに来たら何かおもしろいことや人が見つかる」
と感じられるような場所にしていきたい。
押切さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。
押切私は、これまで人をつなげるということに多く触れてきました。「BOOK LAB TOKYO」や「Peatix Japan」時代も、自分が企画したイベントもそうですし、「この子とこの子は合いそう」と思ったら紹介して、その二人が結婚していくということもけっこうありました。誰かと誰かがつながって楽しく幸せになっているというのは、昔からすごく好きでしたね。そういう私が沖縄に来たのは人生のターニングポイントのひとつだし、代表の福地が、このコワーキングスペースを情報や人がつながる交差点みたいな場所にしていきたいという想いにも共感して、「ここで働いたら何かが起こるかもしれないな」とワクワクした気持ちもまたきっかけのひとつだったと思います。ここに来たら次にやるべきこと、行くべき場所が見つかる、あるいはおもしろいものやコトが見つかっていく場所にしていきたい。私自身がここにいることで、これから何かが起こっていくんじゃないかという直感はあります。それが続いていくことが、私にとっての“EVOLUTION×LOVE”です。
所属や肩書をこえた「街の同級生」をつくる取り組み
「沖縄をつなげる30人」1期チームメンバーと
押切さんが“EVOLUTION✕LOVE”に向けて、これからも大切にしていきたいことは?
押切「ここに来ると何か一歩進むきっかけになるよね」と言われる場所にしていきたいですね。そのために、常に清潔で居心地のいい空間をつくることはとても大切にしていますし、これからも続けていきたいと思っています。
また、ここに関わっているスタッフや大学生が「何かやってみたい」と思ったことを、無理のない形で実現できるように、少し力を貸したり、一緒に考えたりする存在でいられたら嬉しいです。
私が人をつなぐときに意識しているのは、ただ紹介して終わるのではなく、「なぜこの人に、この人を紹介したいと思ったのか」という理由を、それぞれにきちんと伝えることです。そして、今がそのタイミングなのかどうかも必ず確認します。
すぐに関係が深まらなくても、「切れた」とは考えません。時間が経ってからふと思い出して連絡をもらったり、また会いに来てくださったりすることも、大切なつながりだと思っています。
こうした関わり方を大切に、つながり合う人が少しずつ増えていくことが、結果として街の進化につながっていくと願って、これからも、すてきな1日をつくっていきます。

押切さん、ありがとうございました!人と人とをつなげながら関係人口を増やしていき、「HAVE A GOOD DAY」をおもしろい人やことが集まる場所にしていこうと活動を続ける押切さんを、今後も応援させていただきます。