空でつながろう

Interview Vol.168 山口県岩国市で、
コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第168弾の今回は、山口県岩国市で、人と人をつなぐ場所としてのたこ焼き屋やNPO法人活動に尽力する津原政志さんに話を伺いました。

山口県岩国市で、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

津原政志さん

この街にしかない場所、人と人とがつながる場所、
心に傷を持つ子どもたちを応援する場所。
その思いを胸に「タコっちゃ」を開店。

現在の活動について教えて下さい。

津原山口県岩国市でたこ焼き店「タコっちゃ」を3店舗経営しています。飲食店というだけではなく、地域の人々の居場所や、挑戦の入り口のようなイメージで営んでいます。またNPO法人の理事も務めて、「タコっちゃ」でのバイトを通して若者の自立援助をサポートしています。

山口県岩国市で、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

タコっちゃのお店の前でスタッフさんと

今の活動を行うことになったきっかけを教えてください。

津原私は山口県柳井市で生まれ育ち、大学で福岡へ行きました。(※3年次に中退しています)光通信に入社し、地元に戻って15年間、通信機器の代理店で働きました。

42歳の時に、「このキャリアをこのまま伸ばしても、厳しいな」と感じて。というのも、私は地元で将来会社を運営するとか、もっと大きなことをしたいと思っていたからです。でも42歳ではもう厳しいかなと思いました。そんな不完全燃焼の状態だったので、転職しようと考えて、飲食店舗がオープンする際のサポートを行う会社に就職しましたが、結局アジャストできませんでした。でもせっかくだったら飲食に関わる仕事をしたいと思い、縁あってワタミに入社しました。

実は以前、ワタミ創業者が書いた本を読んだことがあって、夢に向かおうというような内容だったのですが、それに刺激を受けたという理由もあります。

ワタミでは8年間働きましたが、その間に、「自分のやりたいことを一回形にしてみたい」と思って、ワタミの代表が主催する「みんなの夢アワード」というビジネスコンテストにエントリーしました。ちょうど会社がベトナムの技能実習生を受け入れている時期で、「これだけ外国人が日本に来るのだったら、その方たちと一緒に楽しいことができないか、この方たちが地域に溶け込むようなことはやれないか」と考え、そのアイデアをまとめて応募しました。約300人の応募があり、二次選考の21人の中に残った時に「世の中には自分で思ったことをこうやって形にしていく人たちがいるんだ」ということを実感しましたね。

そのコンテストで、NPO法人「ちぇぶら」の代表、永田京子さんに出会って、「5年一生懸命やったら人生が変わる」といわれました。その言葉がずっと心に残っていたこともあって、コロナ禍になって時間ができたときに、自分が何をしたいのかということをじっくりと考えるようになりました。ちょうどそのタイミングで「山口市100人カイギ」が始まったので、オンラインで参加して、さまざまな登壇者の話を聞いて、「地域にこんな素敵な人たちがいる」ってことに衝撃を受けたんですよ。100人カイギは私にとってとても楽しくて刺激的で、毎回参加していたら、運営側に誘われ、よりみんなとのつながりが深くなりました。

「山口市100人カイギ」が終わった時にその発起人が「今度自分は下関市で100人カイギをやりますが、津原さんは岩国市で100人カイギをスタートしませんか?」といわれて岩国市100人カイギを立ち上げることになり、そこで出会った実業家の方と「タコっちゃ」を開業しました。

山口県岩国市で、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

タコっちゃを始める前に参加していた「Class Biz」の皆さんと

どういう思いで「タコっちゃ」を立ち上げたのですか?

津原ある時、100人カイギの登壇者から「まちづくりは思い出づくり」という言葉を聞いたのですが、本当にそうだなと実感して。例えばたこ焼きを買うにしても、どこにでもあるチェーン店ではなく「岩国のあのたこ焼き屋がいい」といわれるような、そこにしかないっていう場所の思い出を作ることが大事なんじゃないかと感じました。

また、私はワタミで年輩の方々と一緒に働いていたのですが、年金だけじゃ生活できない方々がちょっとしたお小遣いを稼げるような場所があったらいいなという思いもありますし、人との関わりができる場を作りたい、歩ける範囲で楽しいことがある、という環境を作りたいと思って、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋にしたいとも考えましたね。

もうひとつ、たこ焼き屋を立ち上げる時にクラウドファンディングをしたのですが、地域で子どもを育てることをテーマに心の傷を持つ子どもたちの自立支援を行っているNPO法人の理事長が私たちのクラウドファンディングを見て、「心に傷を負う子どもたちが自立する場所として預かってくれませんか?」と頼まれました。

自立援助ホームは職員もみんな子どもたちとの関わりに疲弊しているんです。でも、子どもと関わろうという人が増えたらその疲弊を分散することができるし、子どもたちを「タコっちゃ」で預かることで、ホームへの不満など、いろいろな気持ちを分散することができる。地域にこういう場所ができれば、みんなが楽になるのではないかと思ったわけです。

傷ついている子どもたちの多くは引きこもりになったり、悪の連鎖が続いてしまいがちですが、僕達のところに来る子どもは、そういう人生じゃない人生を歩みたいと思っている。だからその手助けをしたいと思っています。

それと、この店で出会った人たちが新しい挑戦を始めたり、場と場がつながって人の連鎖がつながっていけばいいのかなと思っています。この街にいる人たちがお互いに理解できる場所になればいいとも考えています。

山口県岩国市で、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

山口獺祭の会で獺祭の桜井会長(写真中央)と「山口ポーズ」をとる津原さん

津原さんにとってのまちづくりを教えてください。

津原1人ひとりが輝くことが街全体を明るくしていくと思っています。自分ができることをやることで街が明るくなり、一人ひとりが輝いてさらに街全体が明るくなっていく、それが大切だと思っています。

山口県岩国市で、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

勤務時の様子

人と人とをつないで街と人との関係性をつくること、
人の挑戦を応援することを続けていきたい。

津原さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

津原最初は自分の人生を変えたいという感覚が強かったのですが、100人カイギで多くの人々と出会い、「タコっちゃ」の運営に関わり、地域活動を続けていく中で人と人とをつないで街との関係性を育てたい、人の挑戦を応援したいという思いに変わってきました。自分がやってきたことが点だとすると、今は線としてつながって愛情の対象が自分の未来から地域の関係へと進化してきています。いってみれば“LOVE×EVOLUTION”が“EVOLUTION×LOVE”へと変わってきたということでしょうか。

山口県岩国市で、コミュニティの拠点としてのたこ焼き屋を運営。

岩国100人カイギの様子

将来はどのようになっていたいですか?

津原結局地域づくりは、自分が何かをやらないと始まらないんです。当事者になって初めていろいろなものが見えてきて、熱を帯びてくると、みんなが何か取り組みをしやすい場所を作りたいと思うようになる。誰かがやってくれる、のではなく自分が参加してこそ、自分が住みやすい地域になるのだと思います。特に田舎はそういう場所づくりがしやすいとは思いますね。今後も、自分が住みたい街を作っていけるような人が一人でも増えたらいいかなと思っています。

津原さん、ありがとうございました!「タコっちゃ」やNPO法人活動を通して、人と人とをつなぎながら街を楽しく住みやすくする場づくりを行う津原さんを、今後も応援させていただきます。