空でつながろう

Interview Vol.38 インプット&アウトプットにより
徹底的に自分と向き合う時間。

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「愛」を持ち、未来へ向けたチャレンジをしている方々へのインタビューを行なっています。愛は人類を進化させる最も大きなモチベーションだと信じて、みなさんと一緒に考えていければと思います。

今回は、11/3-5の3日間に亘り福岡県にて開催された「EVOLOVE presents 宗像祭2023」の一企画。「1 Day Cross Mentorship in 九州」をレポートします。タレントの春名真依さんが、イベントに参加し、取材と記事の執筆を行いました。

インプット&アウトプットにより徹底的に自分と向き合う時間。

参加者による1on1の様子

熱量が伝播していく。
人生の先輩たちの言葉。

「EVOLOVE presents 宗像祭2023」にて、学生向けのキャリア形成支援プログラム「1Day Cross Mentorship in九州」が開催されました。

「自分なりの社会貢献の形を考え、今後のキャリアを創っていく」ことを目的としているイベントで、20代のうちからソーシャルビジネスの分野で活躍している方の体験談を聞く「ライフスピーチ」や、世代や立場を超えて参加者同士で一対一で対話をする「1on1」など、参加者全員が<聞く><話す>の両方を行い、これからの社会や自分の在り方について改めて考えることのできる時間となりました。

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㈱フジテレビジョン 木幡美子さん

まず「テレビとSDGsの関係について」話しをしてくださったのは 株式会社フジテレビジョン 社会貢献推進局 兼 報道局解説委員の木幡美子さん。フジテレビにアナウンンサーとして入社しニュース番組を担当した後、2011年にCSRの部署へ移動。現在放送中のSDGsをテーマにしたミニ番組「フューチャーランナーズ」を発案されました。木幡さんは未来を変えるためにテレビ局ができることについて、SDGs推進スローガン「伝える・変える」に込められた意味とともにお話され、同じ思いを持つ仲間との共通の価値の創造や、ともにつくるという意味の「共創」の大切さについて語ってくれました。

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NPO法人MOTTAI 菅田悠介さん

続いて登壇されたのはNPO法人MOTTAI代表理事でありながら猟師としても活動されている菅田悠介さん。歩んできた自分の人生からの発見、その経験から自分が起こしたアクションについて話し、「食べものになるまでの過程を知る機会の少なさ」についての問題点を述べられました。

ワークショップに参加してから"食べる"ということの真理を知り、農家やスーパーなどいろんな人やものが“食べる”ことには詰まっていることに気づいた菅田さん。当たり前の裏側にアクセスしやすい社会を創るため、廃棄になりそうな食材を持ち寄る料理会「モッタイNight!!」や狩猟体験事業「罠オーナー制度」など、"食べる"を考えるきっかけづくりを積極的に行っています。

今回のプログラムには多くの学生さんが参加していました。菅田さんは、学生たちに向けて興味ある分野を見つけるためのコツや実践方法についてもお話しされ、アドバイスとともに人生の先輩として温かいエールを送っていました。

ライフスピーチの中で「食べ残しに疑問を持つようになってから、友達の食べ残しにも気づくようになり、身近な人に食べ残さないことを伝えたい」という菅田さんの思いが語られた部分があり、相手に言わないという方法で自分の気持ちを抑えるのではなく、伝えるという方向に舵を切ることができたのはどうしてなのか気になり尋ねると、「衝撃の経験が大きかったと思います。自分にとっては鴨の解体のワークショップに参加したことが大きくて、自分の価値観を大きく変える衝撃の経験をしたことが使命感へ繋がったのだと思います。」と話してくださりました。価値観が変わるような衝撃の経験。その経験づくり、きっかけづくりを自分ができるようにという菅田さんの熱い思いは、きっと沢山の方に衝撃を与え続けるのでしょう。この日、その瞬間に立ち会えたような感覚でした。

人に話すということは、
自分とも対話するということ。

スピーチ後に行われたのは「1on1」。入場時に配られた名札に自分の名前と併せて「自分を表すハッシュタグ」を記入しました。それに基づき「ハッシュタグから考える社会貢献」というテーマに基づき、1対1にて30分間×3回話すという内容でした。実際に私がお話させていただいた方々から素敵な想いを聞くことができましたので、ここに少し書き留めたいと思います。

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高校生と大学生が、様々なバックグラウンドを持つ社会人の方々と話す機会に

1人目は大学院生の中谷さん。中谷さんの名札には「#コガネムシ」というワードが。これは聞かずにはいられないと思い、なぜコガネムシと書いたのかお聞きすると、現在大学院でコガネムシの研究をしているとのこと。子どものころに地元の公園で行われたコガネムシの観察会に参加したことがきっかけでコガネムシに興味を持つようになり、現在は、なぜコガネムシに色の違いが生まれているのかについて研究を重ねているそうです。しかしその中で、研究に対する社会的・金銭的理解の低さという課題に直面しているとも話してくださいました。昆虫のことを知ってもらいたいというところからスタートし、自分が子どもの頃にきっかけをもらったからこそ次は自分がきっかけを与えたいという気持ちを大切にしながら、現在は研究への理解を深めてもらおうと社会貢献の視点へと思考を広げているそうです。私と同い年の方で、異なる場所で活動している者同士での話はたくさんの気づきがありました。中谷さんの好きの気持ちのその先を追う姿勢や、熱い思いをアクションに変える行動力。私にとって大きな刺激でした。

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知らない社会人と学生同士が1 on 1で話す機会は、滅多にない貴重な時間。

2人目にお話したのは大手コンサルティング会社に勤められている後藤さん。3人制のバスケットボール「3x3(スリーバイスリー)」を広めるため活動した後、現在は社会課題に対して他者と協働し解決策を探すための知識や能力を身につける"アントレプレナーシップ教育"を広めていらっしゃいます。過去Cross Mentorshipに参加されたOBの方でもあり、自身が学生の頃長く時間を費やしてきたバスケットボールにまつわる仕事をしたいという思いをCross Mentorshipで様々な方に話したところ、話すことでブラッシュアップでき、同じ参加者に応援をしてもらえたり背中を押してもらえたりして、自分のやりたいことへ1歩踏み出せたと話されていました。

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1on1への参加者からは笑顔が溢れていました

私が会場に入った際、席が近かったのでお話をうかがった学生さんは、将来のビジョンが見えないことが悩みで先生にそれを相談したところ今回のCross Mentorshipを教えてもらえたと話していて、Cross Mentorshipは自分がしたいことを知ってもらうだけでなく、そういった自分にとっての「はじめの一歩」を踏み出す手助けをしてくれる場でもあるのだと、様々な方の話を通して感じました。

3人目にお話したのは、名札に「#未来構想キャンプ」「#空き家」と書いていた高校生の古賀さん。慶應義塾大学主催の未来構想キャンプに参加したことから空き家に興味を持ち、趣味であるアクセサリーづくりと掛け合わせて、将来空き家をリフォームして同じ趣味を持つ人たちを集めてお店やポップアップショップを開きたいという夢を持つ高校生。笑顔たっぷりに夢を語るまなざしがとても眩しく、それだけで私もパワーをもらいました。既に夢を見つけて考えている古賀さんですが、高校生ゆえの悩みもあるそうで、「高校生にうちにしておいた方がいいことはありますか?」「どうしたら文章を書けますか」など積極的に質問をしてくれました。大人と対等に話せる場であるCross Mentorshipはとても刺激的だそうで、視野を広げたいという目標を持ちながらこの日を楽しんでいました。

私自身、高校生と話すとなると事務所の後輩の子が多く、こうして学校生活のことやレポート・小論文のこと、大学試験のことなどを年下の方と話す機会が少なかったのでとても新鮮で、あっという間にタイムリミットが来てしまいました。古賀さんが持つこの熱量は真似しようとしてもできないもので、多くの人が必要としている魅力だと思うので「その熱い想いがあればこれから先きっと大丈夫だよ」とお伝えして1on1は終了となりました。

インプット&アウトプットにより徹底的に自分と向き合う時間。

社会人の皆さんも、学生たちの熱量に応えて熱いトークが繰り広げられました

自分が通っていない道を進んでいらっしゃる方との1対1での会話は学びばかりで、知らない世界に触れることができ、一気に知識の引き出しが増えるような感覚でした。

また、自分のやりたいことや秘めている思いを言語化することで、改めて自分についても知ることができる場でもあると感じました。言葉にするためには、その言葉と言葉の間の過程や理由が必要で、○○だから○○したい、○○することで○○できるのではというような、何となく靄がかかっていた部分を明確にできるのも、他者との対話の中から発見できることなのではないでしょうか。

複数人で考え聞くことで知見を広める。考える経験、そしてともに考えたという経験ができるこのプログラム。知識が広がるだけでなく、人の心にも触れられる素敵な空間・時間となりました。

取材・執筆
春名真依

春名真依

スターダストプロモーション所属 タレント・女優。関西を拠点に活動していたアイドルグループ「たこやきレインボー」の元メンバー。大阪府出身。愛称は「まいまい」。2023年に関西大学を卒業、2022年防災士資格を取得。2001年1月5日 22歳 · 趣味:ジオラマ鑑賞、ミニチュア集め、少女漫画を読むこと、アイドルオタク