空でつながろう

Interview Vol.41 縁をつなぎ、富山をウェルビーイングの地に。

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行なっています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第41弾の今回は、富山県富山市で春巻専門店や飲食店サポート、インターネット事業などを通して地域活性化に取り組んでいる「ENISHING(エニシング)」の上澤 遥華(うえざわ はるか)さんにお話を伺いました。

縁をつなぎ、富山をウェルビーイングの地に。

マルシェの運営仲間と上澤さん(左から2番目)

「たんぽぽ」として、
幸せの種を蒔き続けたい。

Q.富山で活動することになったキッカケを教えてください

上澤高校卒業後に飲食の仕事をしていた時、お客様との温かい関わりや、人とのつながりの大切さを学ばせていただきました。その経験を通して感じたのは、お世話になった地域の方に恩返しがしたいという想い。そして、自分の好きな場所を、自分ができる最大限のおもてなしで、一人でも多くの人に好きになってもらいたい。そこから、生まれ育った富山で活動したいと考えるようになりました。

加えて、結婚・子育てを通して自分がどう生きていきたいか考えると共に、上澤遥華としてのカッコいい生き様を子ども達に見せたいと、夢だったお店をオープンさせました。お店は「ご縁を現在進行形でつないでいきたい」という想いを込めて、「縁+ing=ENISHING(エニシング)」と名付けました。

今は春巻の専門店など、食を通じて地域の方々と交流を広げたり、多くの人と一緒に富山を盛り上げたいと「富山EN marche(エン マルシェ)」も開催しています。)

Q.富山への想いや活動への想いをお聞かせください。

上澤自分が生まれ育った場所で、大切な家族や友人が毎日を少しでも幸せに笑って過ごしてほしいし、それが私の幸せ。ですからそのためにも、富山で幸せに暮らすためのエンタメやコンテンツを充実させていきたいですよね。

たとえば富山県では、「関係人口100万人」という目標があります。100万人といえば、富山県の人口とほぼ同じ。ちょっと極端ですが、県民が富山県の人みんなと友達になれたら、富山が一つになれるなと思います。その「県民みんなの仲が良い」ということが、富山県の魅力になればいいなと思いながら活動しています。そしてゆくゆくは、ウェルビーイングと言えば富山県であり、上澤だと言ってもらえるようになりたいです。

そしてもう一つ、今、富山県主催の富山と外をつなぐ観光産業の勉強プログラムに参加しています。一人でも多くの人に富山を好きになってもらいたいし、富山に足を運んで地域に触れてもらいたい。そのためのプランを作る予定です。住んでいる人に富山を好きになってもらうのと同時進行で、県外の人にも富山の魅力を伝えていく、そんなパイプ役を目指しています。

Q.上澤さんにとって、地域活性化とは何でしょうか。

上澤まず、そこに住む人たちが活性化していることが大切ではないでしょうか。それは経済活動という意味もありますが、そこに住むことで生きる活力というか、毎日を楽しい・幸せだと思って暮らしてほしい。しかし日々の暮らしに苦しさ・寂しさを感じている人も多いですよね。ですから自治体が掲げる活性化というより、もっと小さな単位で、一人ひとりに寄り添い、小さなグループで楽しいことを作っていくことが、地域活性化につながると思います。

たとえば今、ガソリンスタンドなどを経営する会社さんと一緒に、地域の立ち寄りポイントを作っています。ガソリンスタンドは車社会で暮らす人にとって不可欠なのに、どんどん数が減っています。だからこそ、今ある地域資源であるガソリンスタンドに新しい要素を取り入れることで、「居場所」を作ろうと動いています。

Q.ご自身で感じている、ご自身のミッションを教えてください。

上澤クサい言葉ですが、幸せの種を蒔きたいです。私はたんぽぽが好き。たんぽぽは綿毛になって飛んでいき、別の場所に新しい花を咲かせていますよね。そんなイメージで、各地で「上澤と話すと元気になる」「上澤ならいいアイデアをくれる・話を聞いてくれる」と言われるような存在になりたい。大きなことはできないけれど、アイデアを一緒に考えたり、悩みを聞いてあげたり、誰かとつないだり。自分をキッカケに、その人が幸せになれたらいいですよね。まずは県内、そしてゆくゆくは県外にも、幸せの種を飛ばしていきたいです。

縁をつなぎ、富山をウェルビーイングの地に。

大人の遊び『上澤観光』(とやま観光塾での事業名)

活動を通して増えていく、
好きな場所・大切な人。

Q.上澤さんにとってのEVOLUTION x LOVEを教えてください

上澤最初は自分が生まれた地域が好きで、その地域の人の拠り所となれるよう、自分が通っていた校区でテナントを探していました。しかし活動を通して富山県全域の人との縁がどんどんつながり、大事な人が増えていきました。その結果、これまで地域中心だった視点が、富山県全域の人が幸せになってほしいという視点に変わりました。今では富山県の良さをほかの地域の人に知ってもらいたいという視点も増えました。「幸せでいてほしい」と思う地域・人がどんどん増えていったのが、私にとってのEVOLUTION x LOVEですね。

Q.EVOLOVEプロジェクトは、出会ったことのない人や場所を繋げる活動を行っていますが、何かつなげたいことはありますか?

上澤自分の中で富山への想いが進化したこともあり、関係するすべての人をつなげていきたいです。富山はどちらかというと新しいものを取り入れるのに慎重な県民性ですが、一方でミーハーな一面もあります。ここに暮らす人が自分の町を好きになってもらうためにも、外の人から見た富山の魅力を、地元の人に伝えたいです。

また、地元のつながりももっと密にしたい。最近は、つながりたい人だけつながって、やりたいことだけをやる、そんな大人の文化祭のようなイベントを開催したいと企画しています。模擬店をやったり、自分が作ったものを売ったり、そういった大人が面白いと思ってもらえるイベントをカタチにしていく構想はあります。

縁をつなぎ、富山をウェルビーイングの地に。

とやま観光塾の修了式にて記念撮影。

Q.現状の活動で足りていないことはありますか?

上澤たとえば先ほどの大人の文化祭や観光もですが、運営に関してはまだまだ手探り。構想を実現するノウハウやアイデアを持つ人と出会えたらいいですね。また、ほかの県で同じような活動をしている人と、互いの地域のコンテンツを交換することができたら、活動の幅が広がるように思います。

Q.最近の若者に対して感じることはありますか?

上澤富山の若い子たちは、頑張っていると思いますよ。地域のためになにかしたいと思って、富山EN marcheでも20名以上の学生ボランティアが参加してくれました。若い子たちのパワーはあるのに、逆に、私たちを含めた上の世代が追いついていないように感じます。たとえばうちの子はサッカーを習っているのですが、みんな本当に楽しそうに熱心に、取り組んでいます。そのパワーに突き動かされて、「子どもたちのためになにか活動したい」と、保護者たちの意識が変化しました。

また以前、子ども食堂でお世話になった方の通夜に長男を連れて行った時、子どもが涙を堪えるようにポロポロ泣いていました。頻繁に会っていた人ではないけれど、子どもながらにその方との思い出があり、悲しく感じていることに、新鮮な驚きがありました。子どもが親・家族以外の地域の人からの愛を受け取って育つことは、子どもにとっても地域にとっても大切なこと。そうしたつながりが、地域で活動する若者の原動力になると実感しました。

若者たちは、これからの富山を担う、まさに地域の宝。だから若者というより、大人たちが感化されて、行動や考えを変えていかなければいけません。今後は若い子たちの力を借りながら、富山でのウェルビーイング社会を目指していきたいです。

   上澤さん、ありがとうございました。「私を通して幸せになってくれる人が増えたらいい」と、パワフルに活動する上澤さん。今後、上澤さんの活動を通して、富山でのウェルビーイングが根付いていけるよう、これからも応援させていただきます。