空でつながろう

Interview Vol.57 大分×福岡
地域イベントを支える
ボランティアを、もっと学びの場に。

2024年3月、大分県大分市にて大型野外音楽フェス「ジゴロック2024」が開催されました。様々なアーティストのライブやお笑いステージ、多くのグルメが堪能できるこのフェスでは、リストバンドのチェックやゴミステーションで声掛けをしているボランティアの皆様の支えがありました。

今回インタビューさせていただいたのは、ボランティア企画をリードしてくださった李 根煕先生(立命館アジア太平洋大学国際経営学部 教授)、五十峯 聖先生(桜美林大学芸術文化学群 准教授)、渡辺 翔太さん(日豊海運株式会社 専務取締役)。「宗像祭2023」にも参加されていたお三方に、「ジゴロック2024」でのボランティア活動についてお話しを伺いました (取材・記事:春名真依)

地域イベントを支えるボランティアを、もっと学びの場に。

(写真左から、渡辺 翔太さん、春名 真依、李 根煕 先生、五十峯 聖先生)

昨年11月に開催された「宗像祭2023」の感想を、改めてお聞かせください。

APU(立命館アジア太平洋大学)の教授として、学生にいい機会を与えられたらと思い参加しました。フェスに参加すること自体が初めてだったので、日本のフェスってこういう雰囲気なんだということが知れて、貴重な体験になりました。

五十峯「宗像祭2023」では、「1Day Cross Mentorship in九州」で、開催地である地元福岡県の高校生を募集するという役割で関わっていました。高校生と社会人が密接に話せる機会を創出し、特別な経験ができればと、様々なところに参加を呼びかけました。「これまでの人生で話したことのある大人は、親か先生くらいしかいませんでした」という学生もいて、“複合的な集まり”の場を提供できたと思います。

初開催の「ジゴロック2024」。実際に参加してみて感じたことなどはありますか?

五十峯主に、地元の大学に対してアプローチし、ボランティアに興味がある学生を集めたのですが、配置場所によって、退屈な業務、楽しい業務、重労働な業務などがあるため、不公平感が出ないようローテーションを回す工夫をしました。「行って良かった」「楽しかった」という感想で終わって欲しいと考えてコーディネートしましたが、うまくいったと思います。

渡辺大分県にて第1回目の開催となった「ジゴロック」。実際に来てみて分かることが多々あり、実際に自分も参画することが大切だと痛感しましたね。これからも引き続き、地元の人たちや地場企業の方々と細かいところまで意見を交換し、どんなイベントにしたら良いのか、想いを積み重ねていきたいなと思いました。

次のイベント開催の時には、この経験を活かしていきたいです。お客さんからの意見、実際に参加した学生からの意見など集めつつ、後で皆さんと共有しながらより良くしていきたいと思っています。

五十峯出てきた意見を運営側に戻すということはやりたいですよね。現場にいる学生がどういう風に思ったのか声を聞いて、主催者に戻し、次回に活かして欲しいです。

ボランティアは、一番観客に近い場所で仕事をしますからね。

渡辺ボランティアとして参加しているからこそ、率直な意見が言えるのかも。その上で僕は“遊び感覚のボランティア”にしたいと思っています。ボランティアも楽しむような祭りにしたいので、人員を増やして「スタッフがたくさんいるから、今は遊んできていいよ」と言ってあげたいです。大分のフェスがそうなれたらと。

五十峯ボランティアとして貢献もできるし、自分も楽しめるし。

渡辺いつかスタッフも含めて、“おつかれさま会”もやってみたいですね。

APUには様々な国籍の学生がいるから、「大分のフェスに行ったら、ボランティアもすごく多様性を持っていて楽しかった!」という印象にもなると思います。

渡辺外国語対応も必要ですね。

五十峯こうしたイベントを続けることに意味があって、続けるためには地元の協力が不可欠です。そのためには、参加する大学生や社会人にとってインセンティブが必要だと思っています。自分自身アメリカに留学したこともあり、海外での社会貢献ができることほど嬉しいことはないので、留学生の方々の参加をもっと増やしたいですね。日本語を学ぶモチベーションにもして欲しい。

学生からすると、イベントが次回、どのように改善されていくのかの過程も学べる場所なので。

地域イベントを支えるボランティアを、もっと学びの場に。

(写真左から:渡辺 翔太さん、春名 真依)

最後になりますが、宗像祭やジゴロックを経て、次のステップや目標などはありますか?

渡辺ここで集めた意見をまとめて、イベントの運営の方々と話すことです。僕たちはこのことに対してこういう想いを持っているけれども、実際にやっている人たちはこう考えているというようなこともあると思うので、協力して、より良いものにしていきたいです。

五十峯“ジゴロックについて考える会” を開催したいですね。

そういう会があると、一つの課題を様々な方向から見ることができますね。

渡辺僕らは、現場のボランティアサイドからの視点を持つこともできたし、本業のビジネス的な視点も持っています。色々な課題を、別々の視点から考察でき、深みのある知見を得られると思います。

これくらいの規模だったら、このくらいの人数が必要というのも実際に来てみて分かったので、このような学生たちの“学びの場”をもっと創っていきたいです。

渡辺そういった橋渡しをするのが僕らの役割ですね。

五十峯理想としては、地域の全部の大学が参加できたらなと思います。「チーム大分」「オール大分」でサポートするようにしたいです。

渡辺ここでの経験は、学生たちの学園祭でも反映できると思いますし、人生の色々なシーンで有用な知見となるでしょうね。

今回のボランティアは大学生や社会人の参加でしたが、これから先、高校生にもぜひ参加して欲しいですね。

五十峯実際、企画の段階から学生発案のものがあってもいいかもしれないねという話もありました。女子高生が考えるコスメエリアとか。

渡辺地域のお祭りなども絡めて、将来的にはそういうところまで持っていけるといいなと思います。

地域イベントを支えるボランティアを、もっと学びの場に。

(五十峯 聖先生、李 根煕 先生)

初開催のフェスで、新たに見つけることができたボランティアに関する課題と未来。イベントをスムーズに進めるための運営的な側面と、経験することで得られる学びの側面を熱く語っていただきました。インタビューの中では度々「続けるために」という言葉が飛び交っており、宗像祭にも参加されたお三方だからこその、“2回目”に繋げるための思いを知ることができました。好奇心が経験に繋がるように。その経験が学びになるように。ボランティアに参加してみようと興味を持つ方が増えていくことを願っています。

取材・執筆
春名真依

春名真依

スターダストプロモーション所属 タレント・女優。関西を拠点に活動していたアイドルグループ「たこやきレインボー」の元メンバー。大阪府出身。愛称は「まいまい」。2023年に関西大学を卒業、2022年防災士資格を取得。2001年1月5日 22歳 · 趣味:ジオラマ鑑賞、ミニチュア集め、少女漫画を読むこと、アイドルオタク