空でつながろう

Interview Vol.59 街に新たなコンテンツで価値を創生 
滋賀県草津市をK-POPの聖地に

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第59弾の今回は、K-POPアーティストのライブやイベント、キッズダンサーのイベントプロデュースなどを通して草津市の地域活性に貢献し、日本と韓国をつなぐ架け橋のような存在をめざす礒田弘子さんにお話を伺いました。

街に新たなコンテンツで価値を創生 滋賀県草津市をK-POPの聖地に

韓国での授賞式に出席する礒田さん(写真センター)

音楽の力で人を喜ばせ、
地域活性につなげたい。

現在の活動について教えて下さい。

礒田滋賀県草津市で「株式会社K&Dエンターテイメント」という会社を2017年に立ち上げました。日本を拠点として活動しているアーティストや韓国事務所に籍を置くKPOP新人グループのライブ及びイベント企画や地元のキッズダンサーを起用したイベントプロデュースなどを行っています。また草津市の小学校、中学校でK-POPアーティストによる多文化教育授業の一環としてダンスレッスンや講演会、高校の学園祭でサプライズライブ行っています。

街に新たなコンテンツで価値を創生 滋賀県草津市をK-POPの聖地に

中学校で開催された講演会の様子

草津市で活動をすることになったきっかけを教えてください。

礒田50歳の頃から韓国の文化や歴史などに興味を持ち、韓流ファンとして、東京や福岡など、いろいろなK-POPアーティストのライブに行っていました。会場では同じファン同士ということもあって、席が隣の人と仲良くなることもあります。その時に「どこからいらっしゃったのですか?」って聞かれて「滋賀県です」と答えると、みんな一瞬目が泳ぐのですよ。滋賀県ってどこだったかな?って。「京都の隣です」と言うと地理的に理解してもらえますが、今度は「草津市です」と言うと時には群馬県の草津温泉と勘違いされたこともありました。

そんなことが続くとだんだん淋しい気持ちになって。そこから、「滋賀県をメジャーにするために何か私にできたらいいのになぁ」と考えるようになりました。

もともと私はパート勤めをして、本当に普通の平凡な暮らしをしていましたが、常に「もっと自分を輝かせたい、人を喜ばせるようなことをしたい」と心の中では考えていましたね。

音楽やダンスのチカラは無限大と考えています。特にK-POPは人を癒す力があります。実際に、仕事のストレスで失語症になっていた方が韓国ドラマの挿入歌を聞いたおかげで話せるようになったという話を聞いて「音楽の力を使えば、私にも人を喜ばせることができるのではないか、草津市の活性化に役立てるのではないか」と考えるようになりました。
その反面、正直何をすればいいかはまだわからない状態でもありました。

ちょうどその頃、韓流好きの知り合いの方が韓国の芸能事務所でお手伝いをしていて「日本でデビューする新人グループがいるから、一度遊びにおいで」といわれて伺いました。私の中では、手が届かないK-POPアイドルを草津市に呼ぶことばかり考えていたのですが、彼らの音楽やダンスを間近で見て会話をさせてもらうと、「こういう新人グループを草津市に呼んでイベントをやることで、色々な人達に喜んでもらえるかも。」と思うようになりました。イベントが認知されれば地域の活性のキッカケにもつながり、韓国と日本の架け橋になれるのではと考えました。

私一人の力で何ができるのだろうと思いましたが、それでも草津市のために頑張ろうと思って60歳で会社を立ち上げました。

60歳と言えば還暦ですよね。私はこれまで結婚したことがないので、設立パーティーではドレスを着て「私は会社と結婚します!離婚されないように頑張ります!」と宣言しました。

礒田さんにとって草津市とはどのような存在ですか?

礒田この仕事でさまざまなつながりができ、草津市の行政の関係者の方々とご縁を頂くようになりました。いつも弊社のイベントでは、色々助けていただいています。草津市は本当に温かい街で、素敵なまちです。市民に住んでいてよかったと思える街づくりの為に「笑顔で明るいまちにしたい!」という行政の想いが強いんですよ。その想いが私の考える音楽の力で草津市を元気にするという想いとマッチしていて、更に協力しあえたらと常に考えています。

私、松下幸之助さんの「熱意は磁石」っていう言葉が大好きです。熱意さえあればいろいろな人が話を真剣に聞いたくださり、そこから色々なご縁が結ばれ、絆が出来てきます。草津市でこの仕事をするようになってますますそれを実感するようになりました。

礒田さんにとっての地域活性を教えてください。

礒田草津市では高齢者のサポートもそうですが、特に子育て世代の施策に力を入れていて、住んでいる人がみんな笑顔で幸せになってほしいという想いが強い街だと思います。他の地域の人がそれを見て「草津市に住んでみたいな」と言ってもらえるようになる、それが地域活性につながると思っています。

そのためには子どもの笑顔が大切だと思い、多文化事業として小学校でK-POPアーティストの講演会を開き、夢を追いかけることの楽しさや大切さを伝える活動をしています。未来を担う子供たちに、夢を持ってもらう事が大事だとおもいます。ただお金だけを求めるのではなく夢を持つことで子どもはもっと元気になって、笑顔で生活できると思います。子どもが元気になったら地域ももっと元気になる。そう考えて、ダンスレッスンや、ダンスを習っている子たちがK-POPアーティストのバックダンサーとして踊るイベントなど、これからもさまざまな企画を考えていこうと思っています。

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子どもたちに夢を与えるキッズダンサーのイベント

「K&Dだから面白いに違いない」と
思ってもらえる存在をめざす。

礒田さんにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

礒田今の事業を始めるとき、最初は滋賀県内で韓国との交流をしていけたらいいと考えていました。その頃、竹島の問題などで日本と韓国の関係が悪化し、「なんで韓国やねん」という風潮が強まり、アーティストたちが一生懸命ライブをしても「出してあげている」という雰囲気で、お金にならない状況が続いていました。それでも草津市の地域活性のために続けてきましたが、「これはちょっと違う」と思い始めましたね。滋賀県は、良くも悪くも内向的で周囲が盛り上がってきたら一緒に盛り上がろうというところがあります。それで私も東京や九州、長野とさまざまなところへ出向いて勉強しました。そのうちに、日本全体にK-POPブームが浸透してきて、滋賀の人々にも「韓流、いいね」と思ってもらえるようになり、きちんとお金をいただける企画ができるようになったと思います。

お金をいただくのであれば、やはり見ていただく人に感動を与えるような企画を考えたい。もっと勉強して、「このイベントは面白い」と思ってもらえるような企画を行って草津市をもっと盛り上げたい。それが私のEVOLUTION&LOVEです。

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草津市で行われたK-POPアーティストのイベント

10年、20年後はどうなっていたいですか?

礒田「株式会社K&Dエンターテイメント」と自己紹介をしても、まだまだ「なんの会社?」と思われることが多く、アーティストのファンの方々や地元の皆様に支えられているという形です。10年、20年後は「K&Dエンターテイメントがやるからきっと面白いに違いない!」と思ってもらえるファンを作っていたいですね。それにはK-POPのライブだけではなく、例えば韓国のメイクセミナーなど、小さなイベントを定期的に行って、「K&Dファンを作る」のような形にしていき、その方たちに次のイベントにも来てもらえるような仕組みにしていきたいと思います。

地方活性化には国際交流も大切だと思いますので、今後は滋賀県でK-POPの野外フェスを企画して、他府県や海外からも人が来るようにするのが夢です。また着物など日本の伝統文化と韓国の伝統文化とコラボして、子どもから高齢者まで楽しめるようなイベントができていたら幸せです。

最近の若者に対して感じることはありますか?

礒田昨年、専門学校の韓流メイク科の学生の韓国卒業旅行をコーディネートしたことがあります。その時に、「礒田さんを見て、自分の夢を叶えることがどんなに素晴らしいことかを知りました。おばあちゃんくらいの年齢の礒田さんが活動する姿を見ると私たちも負けてられへんと思いました」といわれて、今の若い人たちも捨てたもんじゃないなと思いました。その言葉を聞いて、私も年齢じゃない、夢があればそれを実現する喜びを感じられる、私も、まだまだ頑張ろうと思うことができました。

礒田さん、ありがとうございました!60歳で一念発起して会社を立ち上げ、前向きな心で幾多の困難も乗り越えてきた礒田さんのパワーに感動です。常に草津市の活性化や子どもたちの夢のために頑張っている礒田さんの活動を、これからもずっと応援し続けていきます!