空でつながろう

Interview Vol.74 三重県伊勢エリアから発信する「三重EMI marché」
「三重の本当にいいもの」を届けながら
三重県各地の地域活性にも貢献。

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第74弾の今回は、「三重EMI marché」の運営を通して三重のものを全国に発信し、地域貢献にもつなげていく活動を行っている中出静佳さん、岡田摩耶さんにお話を伺いました。

三重県伊勢エリアから発信する「三重EMI marché」「三重の本当にいいもの」を届けながら三重県各地の地域活性にも貢献。

三重EMI marchéの参加者の皆様と運営主催メンバー(最前列左から2番目中出さんと最前列右端岡田さん)と

廃校や山奥の地域で
マルシェを開催し、
地域の活性化を図る。

現在の活動について教えて下さい。

岡田4人のメンバーで「三重EMI marché」を開催しています。2023年6月17日に第1回目を行って以来、1年間で4回開催しています。コンセプトは「三重の良いものを全国に」。他のマルシェとは違い、リアルマルシェとオンラインマルシェを同時開催で行っています。特にSNS発信に力を入れていて、集客はほぼ100%Web。デジタル集客をしているのが特徴だと思います。

また、地域活性の意味も込めて廃校をマルシェ会場にしたり、辺鄙なところにあるけれど素敵な施設を会場にしているのも特徴です。普段なかなか足を運んでもらえないような場所に人が集まる工夫をして、地域活性を図りながらみんなで楽しいことをしよう、という気持ちでマルシェを開催しています。今は、10月にハロウィンをテーマにしたマルシェを開催する準備に取り掛かっています。

三重EMI marchéの開催で大変だと感じることはありますか?

岡田当初考えていたよりも準備が大変で、全体の仕事のうち準備は9.5割。でも苦労の甲斐があって、今はリアル開催には1回800人前後ほどのお客様がいらっしゃいます。

私たちのマルシェは「本当にいいもの、おいしいものを届けたい」という思いから、出店者を一般公募せずに、こちらからスカウトしています。だから、お客様の質がいいと感じています。なんとなく来た、という方よりも、もともと出店者の知り合いとかファンが多くて、何かを求めてくる方がほとんど。どの商品を買っていただいても満足度は高いと思います。

三重県伊勢エリアから発信する「三重EMI marché」「三重の本当にいいもの」を届けながら三重県各地の地域活性にも貢献。

マルシェイベント当日の様子

三重EMI marchéを行うようになったきっかけを教えてください。

中出私には保育園に通う子どもがいます。保育園に連れて行く前に、子育てを支援してくれる福祉会館によく行くのですが、そこで出会ったママ友に手作りのグラノーラとクッキーをいただいたことがありました。それが衝撃的においしくて。ママ友にすぐ「これは売ったほうがいいよ」と話したら、「一応、ゆくゆくは店を出したいと思っているんだ。マルシェにも出店したいけど、一歩が踏み出せない」と答えが返ってきました。彼女も私もただの主婦で、人脈もないし、新しいことにトライする勇気もありませんでしたね。そんな話をある方にした時、「それやったら、あなたがやったらええやん」と言われて、なんか本当にできる気がしたのです。「自分でやってみたらと言われたんだけど、どう思う?」と今のマルシェ仲間の1人に相談しました。そうしたら「やってみたらいいじゃない。手伝うよ」と言ってくれて、そこから今の4人が集まってマルシェを開催することになりました。

当初は、4店舗ぐらい集めてマルシェを開催すればいいと考えていました。それくらいの規模であればできるかなって。でも、いろいろな事業者の方から助言をされて、どんどん膨れ上がっていき、1回目のマルシェの出店者数は20店舗、第4回目は40店舗も出店いただきました。

今のメンバーとはどのようにつながったのですか?

中出4人とも伊勢を拠点とするWeb関係の代理店事業の仲間で、もともと顔見知りでした。デジタルとアナログを融合し、この地域のデジタル化を図りたい、というのは私たちの活動のコンセプトのひとつ。そのためには、まず人と人とのつながりを大事にしたい、という思いからリアルのマルシェ開催を大切にしています。

三重県伊勢エリアから発信する「三重EMI marché」「三重の本当にいいもの」を届けながら三重県各地の地域活性にも貢献。

マルシェイベント当日の様子

三重EMI marchéにとっての地域活性を教えてください。

岡田まずは身近なところから地域を活性化させることが大切だと思っています。それにはマルシェという場所で人と人とをつなげたり、応援しあってその地域で消費を生むことが重要だと感じています。

自分たちでは地方活性をしているつもりはなかったのですが、今、振り返ってみるとマルシェをきっかけに主婦だった方がお店を立ち上げて、ビジネスが軌道に乗るくらいのファンがつく、というスタートアップの支援ができていると感じています。そういう方は、歴史のある大きなマルシェだと出店するのが怖いと感じられることも多いのですが、私たちはそういう方でも入ってもらいやすいように、商品を宣伝する工夫をしています。

また、廃校だったところをマルシェに活用すると人が来るので、地元の方や出店者さんにも喜んでもらっています。三重の度会という地域でこの前マルシェを開催しましたが、それによって近隣のおじいちゃん、おばあちゃんに「こんなところでマルシェをしてもらって嬉しいわ」とか「都会に行かないと買えなかったものがここで買えて嬉しい」と喜んでもらったり、これまでご縁がなかった人たちにも「こんなところがあったんや」と度会を知ってもらうきっかけになったりして、よかったと思っています。

マルシェによって生まれた縁で、委託販売や出店者さん同士の業務提携も生まれてきているのを見ると、私たちの活動が地域活性のひとつにつながっているのかなとも感じています。

三重県伊勢エリアから発信する「三重EMI marché」「三重の本当にいいもの」を届けながら三重県各地の地域活性にも貢献。

三重県度会郡度会町にある住宅展示場兼宿泊施設「class vesso伊勢(クラスベッソいせ)」でのマルシェイベントの様子)

いろいろな人の力になれたり
喜んでもらえることが、
マルシェ運営の原動力に。

三重EMI marchéにとっての“EVOLUTION✕LOVE”を教えてください。

中出この活動は、1人では絶対に難しい。誰かが支えてくれることによって成り立っています。そういう意味では一緒に活動しているメンバーには本当に感謝していますし、そもそもただの主婦だったのに事業者の皆さんとも深く関わるようになって、本当に優しく接していただいています。これも、マルシェを主催するという立ち位置になったからだと思うと、今の環境にすごく感謝しています。私自身でいえば、この環境の変化にともなう自分自身の進化が“EVOLUTION✕LOVE”。マルシェの活動を通して、いろいろな方から「ありがとう」と言っていただけることが多くなりました。人のために何かできていると実感した時、自分自身も満たされ、愛を人に渡せられると思っています。

岡田中出さんの話に同感です。マルシェは最初1回きりのつもりで「こんなんでいいかな」と不安な気持ちも抱えつつ始めたのですが、実際に終わってみたら、出店者の皆さんやお客さんから「すごく楽しかった」と言ってくださって、回を重ねるごとに「いろいろなマルシェの中で三重EMI marchéが一番好き」「三重EMIマルシェに出店したい」と言ってくださる方もいて。それが私たちの喜びになり、原動力につながっています。私たちの活動が、いろいろな人に喜んでもらえて、需要があるということが私にとっての“EVOLUTION✕LOVE”です。

三重県伊勢エリアから発信する「三重EMI marché」「三重の本当にいいもの」を届けながら三重県各地の地域活性にも貢献。

「class vesso伊勢(クラスベッソいせ)」でのマルシェイベント参加者の皆様と

10年後、20年後はどうなっていたいですか?

中出私みたいな何者でもない人でもできることがあるということを1人でも多くの人に感じてもらえるといいと思います。今後はさらにモノを売るにもリアルだけではなくてオンラインが必要な時代になると思います。例えばオンラインで何かしたい、という人にサポートを求められたら、すぐに支援できるような存在になれたらいいなと考えています。

1人で頑張らなくてよくて、みんなで応援しあえる、そして1人ひとりが輝ける社会であってほしいと思いますね。

現状、足りないと感じていることはありますか?

岡田オンラインとリアルの融合でいえば、まだまだリアルのほうが強いと感じています。私たちのコンセプト「三重のものを全国に」という観点からも、もう少し全国に発信していけたらいいと思っています。

中出マルシェの資金面も限られているので、そこはなんとかしていきたいですし、会場ももう少し広くて雨天でも関係なくできるような場所で開催したいと思っています。

中出さん、岡田さん、ありがとうございました!各地でマルシェを開催しながら、出店者とお客さん、地域をつなげて地域活性化にも貢献する「三重EMI marché」さんを、今後も応援させていただきます。