空でつながろう

Interview Vol.84 大学生がファッションショーと地元コラボ企画で
フェスを盛り上げる!

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行っています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。

今回は、9月21日、22日の2日間にわたって滋賀県で開催された「イナズマロック フェス 2024」のステージで、ファッションショーを行った成安造形大学コスチュームデザインコースの大学生の皆さんと田中秀彦准教授にお話を伺いました。

大学生がファッションショーと地元コラボ企画でフェスを盛り上げる!

成安造形大学コスチュームデザインコースのみなさん

昨年に引き続き「イナズマロック フェス」に来てみて、いかがでしたか?

小川成安造形大学コスチュームデザインコース3年の小川富菜(おがわふうな)です。1年目はとても緊張していましたが、今年は楽しもうと思って挑み、とても楽しいステージになりました。私は滋賀県守山市に住んでいますが、昨年初めて「イナズマロック フェス」に来て、こんなにすごいフェスがあるならもっと前から来ておけばよかったなあと思いました。

藤本コスチュームデザインコース3年の藤本留衣(ふじもとるい)です。「イナズマロック フェス」には3つのステージがあって、それぞれに良さがあると思います。特に風神ステージではインディーズのバンドやアイドルなど、私が知らないジャンルの人々のライブも見ることができて、自分が好きな音楽の幅が広がるのがとても楽しいです。

大学生がファッションショーと地元コラボ企画でフェスを盛り上げる!

企業から提供されたリボンを染色し機織機で織り上げられた3年松尾栞さんの衣装作品

今回のファッションショーのコンセプトは?

中村コスチュームデザインコース2年の中村紗耶佳(なかむらさやか)です。昨年は長さ3mもある葦という植物などの琵琶湖特有の植物をデザインに取り入れたコスチュームを発表しましたが、今回は私たちの作風や研究している内容を知ってもらうことをテーマにコスチュームを作りました。

成安造形大学では布や糸などの繊維を好みの色に染め上げる染色技術や、古来の伝統技術である機織り、自分で描いたイラストを布に自由にプリントするシルクスクリーンプリント技術などの基礎的なテキスタイル技術から、木工や鉄鋼、樹脂などを加工する工芸的なファクトリー、3Dプリンターやレーザーカッターなどの現代的な科学技術まで、幅広いテクニックを応用した芸術的な衣装作品の創作と発表を研究しています。

「イナズマロック フェス」はどのような存在ですか?

藤本私たち学生がこのように大勢の人たちが集まるステージで日頃の勉強の成果を発表する機会はなかなかないので、もっと地元の人たちに気軽に来てもらって、私たちの学校のことも知ってもらいたいと思います。

大学生がファッションショーと地元コラボ企画でフェスを盛り上げる!

デザインした衣装を披露する学生

滋賀県で学ぶ大学生として、地元についてどのように感じていますか?

大谷コスチュームデザインコース4年の大宅歩音(おおやほのと)です。4年間滋賀で過ごしてみて、滋賀県は住みやすいなと思いました。私は広島県出身ですが滋賀に愛着が生まれ、第2の故郷のような感じです。卒業しても何かしらのきっかけで滋賀には帰ってきたいなと思います。「イナズマロック フェス」も、その時にチャンスと自分の情熱があればぜひまた関わりたいと思っています。

坂本コスチュームデザインコース2年の坂本実優(さかもとまひろ)です。私は生まれも育ちも滋賀県です。私にとって滋賀は大切な故郷なので、「イナズマロック フェス」などのイベントを通してもっと多くの人に滋賀のことを知ってもらえる機会が増えればいいなと思いますね。

黒瀬コスチュームデザインコース3年の黒瀬望(くろせのぞみ)です。私も滋賀県出身ですが、イナズマを通して滋賀県にこんな特産物があったんだと初めて知ることもたくさんありました。もっとたくさんの人々に来てもらいたいと思います。

大学生がファッションショーと地元コラボ企画でフェスを盛り上げる!

琵琶湖を背景にインタビューに応じる田中先生(左)と学生たち

田中先生に伺います。滋賀県の大学として、「イナズマロック フェス」をどのように捉えていらっしゃいますか?

田中ただの音楽フェスではなく、地元に開かれ、地域の方々によって作られているフェスなので、私たちも滋賀県にある唯一の美術大学として何か貢献できたらいいと考えていました。龍神ステージでファッションショーをという企画が動き出した時は本当に嬉しかったです。

舞台では、学生たちが滋賀県の布素材を染めたり、織ったりして作ったオリジナル作品を中心に、たくさんの衣装作品を発表させていただきました。

また、イナズマでは2年連続で2つのコラボレーション企画にも挑戦させていただきました。

ひとつは龍神ステージのファッションショーで、イナズマのオリジナルTシャツをアレンジしていろいろなスタイリングや発想を楽しんでもらう「オフィシャルTシャツアレンジショー」。もうひとつは、雷神ステージや風神ステージに出演するアーティストの皆さんが舞台裏で取材を受ける際のオフィシャルフォトブースと、撮影時に手に持っていただけるフォトプロップという小道具を学生がデザイン、制作をさせていただく企画です。

どちらも学生にとってはプロの方々とのコラボレーションという貴重な機会ですので、将来に活かせる貴重な経験をさせていただいて感謝でいっぱいです。

初年度に参加して驚いたのは、通常フェスのグルメ屋台といえばチェーン店が出店していることが多いと思いますが、ここは地元の店が出店したり、漁業組合や農業組合の方々が取り組みをアピールするブースが出ていたりして、地域について私たちも大変勉強になったことです。学生たちが様々な人とのコミュニケーションを通して、自然や環境、衣食住について音楽を楽しみながら学べる場であることが素晴らしいと思っています。学生たちにとっても現場のプロフェッショナルや、違うジャンルの方々の深い知識を、楽しくコミュニケーションしながら学べる場というのはなかなかないので、ありがたく感じています。

大学生がファッションショーと地元コラボ企画でフェスを盛り上げる!

フェスのオリジナルTシャツをデザインされた大岩Larry正志さん(右)と田中先生(左)

フェスの開催を通して、滋賀の変化に期待することはありますか?

田中他府県から滋賀に移り住む学生も多いのですが、住んでみて初めてわかる住心地のよさや、食や自然の豊かさなど、滋賀県の素晴らしさは多々あります。まずは、フェスに来てもらうことで多くの人々に一度体感してもらいたいと思います。また、私たちの大学のキャンパスは琵琶湖が見渡せるところにあります。こうした美しいランドスケープを共有することで、学生同士が何か共通する思いを持つことができれば嬉しいと思います。

田中先生、成安造形大学の皆さん、ありがとうございました!滋賀県出身の学生さんも、そうではない人からも、フェスを通して滋賀県に対する愛着がさらに沸いたことがひしひしと伝わってきました!地元の人々の手によって作られる「イナズマロック フェス」が学生たちの発表の場であると同時に学びの場であるということは、学生たちの未来にとって大きな糧になると思います。次回も、皆さんの活躍を期待しています!