空でつながろう

Interview Vol.1 「屋上」という空間で新たな価値を
名古屋の新しい魅力発信

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビュー企画を開始しました。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを一緒に考えていけたらと思っています。

EVOLOVEが目指すのは、様々な人や地域を繋ぎ「共創」の可能性を模索する中で、みんなで進化していくこと。
このインタビューを受けた方が、次の人にバトンを渡す企画を通じて、日本全国にその輪を広げていきます。
第一弾として、名古屋で屋上活用プロジェクト「青空ルネサンス」を運営している篠元さん、後藤さんにお話を伺いました。

「屋上」という空間で新たな価値を 名古屋の新しい魅力発信

左から 「青空ルネサンス」主催 篠元さん、後藤さん

屋上活用プロジェクト青空ルネサンス

Q.「青空ルネサンス」の活動を開始した経緯は?

篠元コロナ禍の中、途端テイクアウト需要が増えましたよね。
ただ、家の中でテイクアウトの料理を食べていても「味気ないな」と感じ、公園や屋外で食べられる場所が無いかなと。探しましたが、どこの公園も椅子や机があるわけではないので、少し違うのかもと思っていました。屋上という空間はどうか?と目を向けてみると、多くのビルの屋上が活用されずに空いていたのです。
私の本業は空間設計で、人が過ごす空間に興味があったため、そう思ったのかもしれません。名古屋の人たちも外で食事をすることができたら街の雰囲気が変わるのではないかという視点で、「青空ルネサンス」の構想を考えた事が始まりでした。

そんな中、たまたま知人が屋上付きのビルのオーナーと繋がりがあったので、試験的に2020年に屋上で食事ができるような設えを施して、テイクアウトの食事を摂れるスペースを作ることができました。人工芝の上で、テーブルやハンモックを持ち込み、ピクニックのように青空と屋上の風を感じながら食事ができる楽しみを、名古屋の人たちに提供し始めた瞬間でした。

「屋上」という空間で新たな価値を 名古屋の新しい魅力発信

何もなかったビルの屋上を、テイクアウト料理を楽しめるピクニックスペースに変身させます

Q.1人で開始したプロジェクトが、2人のユニットになりましたね?

篠元名古屋の街を、より良い街にしたいという強い想いがあったので始めてみたことですが、一人だけで活動していくことは簡単ではないなと思っていた矢先、たまたま入った路面店の洋服屋さんで、後藤さんに出会いました。お互い、街の話や生い立ちを話すと、同い年、かつ幼少期はかなり近くに住んでいたことも分かり、すぐに仲良くなりました。歩んだ道は違えど、何かしら良くしたいという思いが一緒で温度感にもズレが無いなと思いました。

後藤本業はアパレルや建設系の仕事をしているのですが、東京に行く機会も多く、刺激を受けると同時に、地元名古屋の可能性も強く感じていました。篠元さんと初めて会った時、「産まれた場所、名古屋に何か恩返しをしたい」という想いが強いもの同士だったので、2人で活動を開始するまで時間は掛からなかったです。運命的なものを感じました。

「屋上」という空間で新たな価値を 名古屋の新しい魅力発信

オンライン会議形式でのインタビュー

Q.どのような活動をしてこられたのでしょうか?

篠元屋上のあるビルの周囲のテイクアウトを屋外で食べられるスペースを作る、という企画を6箇所で実施しました。いずれもイベント的に期間限定だったのですが、やはり屋上利用における可能性と、実現・浸透させるまでの難しさが色々と見えてきたところです。このプロジェクトをキッカケに屋上をカフェに改装したお店があり、その報告をいただいた時には、自分達の想いが少しずつカタチになっていくようで嬉しかったです。

後藤開催を重ねる上で、色々な場所の屋上を見せていただきましたが、名古屋の街には活用できていない場所が結構たくさんあるということが分かりました。このような場所をもっと活用したら、名古屋の街が変わるという確信が持てました。でもこの活動を、実際に続けてみようとすると、ビルのオーナーさんの許可が得られなかったり、現場に張り付いてくれるスタッフ要員を確保できなかったりといった諸般のハードルがあります。

篠元まだまだ始まったばかりのプロジェクトですが、フェーズ毎にこれからどう成長させていったらいいのかという問いと向き合っています。

「屋上」という空間で新たな価値を 名古屋の新しい魅力発信

「青空ルネサンス」という
プロジェクトに込めたLOVE

Q.お二人にとって、進化する愛、EVOLOVE(EVOLUTION×LOVE)とは?

篠元難しいですが、名古屋への地元愛をもつ人たちを集めて、仲間を増やすことで進化しているように思います。このプロジェクトは私たちの地元、名古屋がより魅力的な街になるように変えていきたいという熱意で運営しています。現在では数名の仲間が加わり、デザイナー、施工関係、アパレル、カメラマンなど、色々なバックグラウンドを持つメンバーと一緒に力を合わせて頑張っているのですが、もっと色んな人が集まってきてほしいです。関係者を増やし、みんなでこのプロジェクトを作りたいし、誇りに思える街にしていければと思っています。

福岡県だと、「博多の屋台」というイメージがありますよね。「名古屋と言ったら屋上だね」というくらいに、屋上文化を浸透させられたらと思っています。そこに賛同してくれるカフェやレストランが増えていくと嬉しいですね。賛同者を増やすことで、進化していけると思います。

後藤名古屋はサイズ的にも暮らしやすく、色々な意味で「ちょうどいい」街ですが、他の場所を意識しながらより良い街になるようにしたいです。できれば、行政の取り組みとして愛知県か名古屋市にも屋上活用を一緒に取り組んでもらえないかと思っています。活動のスピードを高め、継続的に街を育てていきたいですね。そしていつか、常設の「青空ルネサンス」を作りたいと思っています。

まだまだ青写真の域を出ませんが、屋上に限らない屋外での活動も視野に入れています。プロジェクト名を「屋上ルネサンス」にしなかったのは、未利用地活性化に関しては屋上に限定したくなかったから。それと、このプロジェクトをより活性化するには、体感できる場所や発信基地が必要なので、将来的には他の街ともコラボもしたいです。「名古屋屋上ルネサンス」ではなく、「青空ルネサンス」なのです。

愛知県の若者へ伝えたいこと

Q.まだ若いお二人ですけれども、愛知県に住む若者に向けてメッセージはありますか?

後藤名古屋の街は買い物、食事、遊ぶ場所などがコンパクトに集約されています。学校も就職も子育ても完結するので、若者が街を離れる率が少ないのではないでしょうか。

篠元私は一度名古屋を離れ、アメリカで学び、東京で仕事の経験を積んだあと再び名古屋へ戻ってきました。いろいろな街を見た結果、「良いところ」「良くないところ」が見えますが、もっと良い街になれる、そちらの可能性に賭けたいなと思っています。この先もずっと良い街であって欲しい。強い気持ちで地元を見るようになりました。だから、今の若い人たちには、一度地元を離れ、海外や別の街で経験し、再び名古屋に戻ってきてほしいと思います。その学びや経験を、名古屋発展のために活かして欲しいし、自分達と一緒に活動して欲しいです。

後藤これからの若い世代の力も、絶対に必要です。外に出て、成長して、帰ってきて欲しい。他の街に住んでみて、外から地元を見るというのは大きいと思います。

「屋上」という空間で新たな価値を 名古屋の新しい魅力発信

屋外で食事をすることを楽しんでもらえるスペースをつくる

Interview baton

Q.愛知県で活躍する「青空ルネサンス」のお二人から、他の県で活躍する方へバトンを渡してください。

篠元お話を聞いてみたい方、複数紹介しても良いですか?一組は、屋上繋がりで、「屋上区」というプロジェクトを行っており、東京の屋上を活用した企画をやっている方達です。東京の24個目の区と名のれるほど、公式WEBサイトは充実しています。実際、東京で利用可能性のある屋上の面積は江戸川区と同じぐらいとか。僕らができていない密度で実現できているので、とても刺激を受けています。

   ありがとうございました。生まれ故郷とは違う街で過ごした経験があるからこそ、地元への愛が強まったのかもしれませんね。
「青空ルネサンス」の活躍に今後も注目しつつ、他の県の方へのバトンを繋いで、EVOLOVEの輪を広げていきたいと思います。