空でつながろう

Interview Vol.54 行動力と熱量で
野洲の、「人」、「課題」をつなげる。

EVOLOVEプロジェクトでは、日本全国47都道府県にて「地元愛」を持ち、積極的に地域活性に力を注ぐ方々へのインタビューを行なっています。これまでの活動内容から、この後どのように「地元愛」を進化させていくか。未来へ向けたチャレンジを、皆さんと一緒に考えていけたらと思っています。第54弾の今回は、滋賀県野洲市でスナックココを営みながら、「びわ湖わんにゃんマルシェ」などを通して地域課題の解決に取り組む、川口 ひとみさんにお話を伺いました。

行動力と熱量で野洲の、「人」、「課題」をつなげる。


一社)やす地域共生社会推進協会の新規事業つれだし隊と川口さん(写真右から2番目)

一人でも必要な人がいれば、
その活動には意義がある。

現在の活動と、活動に至った経緯を教えてください。

川口現在は野洲の駅前にあるスナックココを営みながら「びわ湖わんにゃんマルシェ」を運営したり、一般社団法人やす地域共生社会推進協会の理事長など勤めています。

活動に至ったキッカケは、7年前の滋賀県の動物愛護団体との出会いでした。その団体さんが活動する上で場所がないことに困っていらっしゃったので、これまで培ってきた野洲でのつながりを活かして、場所や企業様をつないだのがきっかけになります。

その出会いを通して改めて身の回りの課題に目を向けてみると、人間社会の中で起きている動物を取り巻く様々な出来事に衝撃を受け、今日本で起きている課題についてよくよく考えてみると、動物問題ではなく人間問題、即ち社会問題であることに気づきました。この課題解決の為にどう動くべきか、試行錯誤しながら考えつづけています。動物と高齢者の暮らしもとても重要な課題で、視野を広げるとみんな繋がっているように思います。この活動を紐解けば、解決策に繋がり目指す景色が見えてくるという自分の信念を大切に行動していますね。

行動力と熱量で野洲の、「人」、「課題」をつなげる。


びわ湖わんにゃんマルシェの参加者の皆様と川口さん

川口さんにとって野洲とはどのような存在でしょうか?

川口私は野洲で育ちました。母が野洲の地でスナックを始め、今では43年目の老舗です。スナックを拠点に沢山のお客様に育てていただき今の私があります。ですから私にとって野洲は、恩返しをしたい存在。スナックは母の代から続いていることもあり、3代で通っていただける方もいらっしゃいます。お孫さんの成長を一緒に喜ぶなど、お客様の人生に加わっている喜びがあります。

また青年会議所でまちづくりを学んだ経験から、町が元気になる感動を肌で感じました。イベントの運営を通して、野洲でもその感動を多くの人に伝えられたらと思っています。

行動力と熱量で野洲の、「人」、「課題」をつなげる。


びわ湖わんにゃんマルシェの様子

川口さんにとっての地域活性化を教えてください。

川口やはり行動が、地域活性化につながっていくと考えています。私は常に行動し続けているというか、人を巻き込んでいくタイプ。熱量を伝え、皆さんに協力していただきながらつながっていくスタイルです。そして大切にしているのが想像力。これめちゃくちゃ大事。課題からかけ離れている人や課題がつながり合い、突破口を見いだせることも珍しくありませんからね。

そして地域活性化は、「景色」を想像し見せていくことが必要。今の時代、HPやSNSを見ればある程度の情報は分かりますが、実際の現場は違ったりします。様々な在り方で見せていく工夫が大切。本来関係ないはずの課題も、自分の事として捉えてくれるようになり、そしてスポンサーなどのカタチで関わってくれるようになります。

自分や社会を信頼しながら動き続けることが、地域活性化につながると思います。

地域課題の解決は、
余裕のある町づくりから。

川口さんにとっての”EVOLUTION x LOVE”を教えてください。

川口人との出会いから始まる「挑戦と感動」

野洲はもちろん滋賀で一番の老舗スナックを目指します。SNSなどITが発達している今、ある意味アナログなコミュニティです。しかしアナログだからこその価値や文化を残すためにも大切なことだと思います。

マルシェに関してはゆくゆく全国各地に伝播させたいと思うようになりました。各地に根付くことでその地域の特徴や人柄を知りたいし、その地域に沿った地域課題を解決できると考えています。しかし終わりがないのが生きている証。

私にとっての”EVOLUTION x LOVE”は、挑戦と感動です。

行動力と熱量で野洲の、「人」、「課題」をつなげる。


野洲の兵主祭ギャル神輿にて

10年後、20年後のイメージはありますか?

川口活動を通して、「余裕のある町づくり」を目指したいです。動物愛護の取り組みを通じて、高齢者とペットの共生・殺処分ゼロを目指す上での課題・ペット防災などの課題は、他の問題と比べると後回しになりがちなことを痛感しました。そんな時に活動の一貫で福島に行った時、「余裕のある町」を作る大切さを痛感しました。町に余裕があれば、有事のときにも動物に目を向けることができます。復興に至るまで、動物と共に生きていくことについて、しっかりと考えることができます。健康なまちが出来ること、そんな「余裕のある町」10年後、20年後を見据えて、滋賀全体に対して呼びかけをしていきたい。その過程で足りないものがあれば、新しい仕組みや団体を作っていこうと思っています。そして次世代へ繋げていきます。

そして個人的には、60代になったら自分の可能性を模索したいと思っています。今は地域の活動がメインですが、人生は一度きり。60代になった時に、自分にどんな可能性があるのか…。50代を地域活動に費やした分、60代は自分の可能性を追求したいです。

現状の活動で足りていないものはありますか?

川口やはり、今の活動を更に進化させていくためのパートナーでしょうか。志同じくするもの同士、それぞれの得意分野を活かして、活動を進化させ、社会へ還元していきたいです。

これまで培ってきたつながりを活かして、皆さんに力を貸していただいています。そのつながりが掛け算になり、今の活動の枠を越えて発展できるのではないでしょうか。

最近の若者に対して感じることはありますか?

川口人間である以上、欲や野心はあると思います。でも若い方だけでなく今の時代にその欲に蓋をしてしまっているように感じます。だからこそ若い方にはその野心を出してほしいです。「行動はカタチになる」と若い世代に伝えていきたいです。

そしてまた、私たちは新しく挑戦します。

以前、コロナ禍で「大人食堂」を開催しました。その時に、近所なのにペアルックで、奥様は真っ赤な口紅をされた御夫婦がいらっしゃいました。「若い頃は夫婦でデートをしていたのに、今は歩けないし目も見えない。どこに行くにも夫の介助がいるけど、せめて今日はデートの気持ちで来ました」というお話を聞いてその気持ちがもったいないと猛烈に感動して、「それならもっと、色々な場所に連れて行ってあげたい」また、免許返納になったあと、引きこもりを回避する為に今出来ることを形にしていこう。想像からまた行動に走り出し「つれだし隊」という取り組みを企画する流れとなります。これは市の熱いメッセージと、ダイハツ工業さんの素晴らしいシステムが合致し、10月に野洲初事業がスタート。若い世代の方々にも参画していただき一緒に考え活動できるのを楽しみにしています。

母の為にも、自分の為にも、これからの世代の為にも、進化し続けます。

   川口さん、ありがとうございました!「困っている人が一人でもいたら、その活動には意義がある」と、様々な取り組みをされている川口さん。川口さんの活動が、今後、野洲を軸に全国に展開していけるよう、今後も応援させていただきます。