Interview Vol.150
好きなことを続けた人だけが、
未来の地図を描ける
本記事は、高校生・大学生を対象に開催されたキャリアイベント「キャリアフェス in むなかた」での講演内容をもとに構成している。EVOLOVEは、早く正解を見つけることや、一直線の成功を目指す場ではない。迷い、失敗し、立ち止まりながらも、自分なりの軸を育てていく過程そのものを大切にしている。今回登壇したのは、ムーンプライド株式会社代表であり、20年以上コンサルティング業界に身を置いてきた中村基樹さん。華やかな成果の裏にある「右肩上がりに見える曲線の内側」を、率直な言葉で語ってくれた。
「コンサルタントって、何をする人?」から始まった対話
講演は、堅い説明ではなく、学生との距離を縮める問いかけから始まった。
「コンサルタントって、聞いたことはあるけど、何をやっている職業か分かりますか?」
企業や自治体が抱える課題 ―― 売上を伸ばしたい、新しい顧客体験をつくりたい、AIを使って働き方を変えたい。そうした“変わりたいけれど、どう変えればいいか分からない”組織に寄り添い、解決策を一緒に考えるのがコンサルタントの仕事だという。
世界中の事例を知り、専門的な経験を蓄積し、社内では育てにくいスキルを提供する。その役割を、できる限り噛み砕いて説明した。
誰も知らなかった業界を選んだ22歳
中村さんがコンサルティング会社に入社したのは22歳のとき。当時は、今のように人気業界でも、有名企業でもなかった。
理系大学の同級生たちが大手メーカーに進む中で、選んだのは「将来伸びそうだ」と自分なりに感じた、誰も知らない業界。
「会社で選んだというより、人で選びました」
未来を論じる本を読み漁り、大前研一氏の思想に共感し、「この人のようになりたい」と思えたことが、最初の動機だったという。
香港・中国での挑戦と、最初の成功
最初の大きな転機は、入社直後に始まった海外プロジェクトだった。
香港・中国に約3年間滞在し、日本企業の海外進出を支援。刺激的な環境の中で結果を出し、年間表彰も受ける。
「今振り返っても、一番楽しかった時期です」
だが、その成功は長くは続かなかった。
役に立たない自分に直面する
次のプロジェクトでは、思うように成果を出せず、「ほとんど役に立たなかった」と振り返る。
20代前半で、すべてがうまくできるはずはない。それでも、成功と挫折を行き来する中で、心は少しずつ削られていった。
やがて、昼夜を問わず働く日々が続き、心身ともに限界を迎える。
「もう辞めようかな、と思ったこともありました」
それでも続けた理由
踏みとどまれた理由は、特別な覚悟ではなかった。
先輩の一言、人とのつながり、そして「もう少しだけやってみよう」という小さな選択の積み重ねだったという。
結果的に中村さんは、コンサルティング会社で経営幹部クラスまで経験し、その後起業。今は自分の価値観に合う仲間と、やりたい仕事を続けている。
キャリアは、後から振り返って線になる
講演の中で何度も強調されたのは、「これは後付けのストーリーだ」という言葉だった。
やっている最中は、将来の設計図など見えていない。振り返ったときに初めて、「右肩上がり」に見えるだけだという。
中村基樹さんが学生に伝えた5つのこと
- 将来伸びそうな場所を、自分なりに探してみること
- 手を挙げて、チャンスを取りにいくこと
- 好きなことを、あきらめないこと
- 失敗は、周囲が思うほど覚えていないこと
- 一人で抱え込まず、人に頼ること
特に「好きなこと」については、はっきりとこう語った。
「好きなことは、頑張れる。頑張れるから、成功する確率も上がる」
人脈は、最後に効いてくる
AIが進化する時代だからこそ、人と人との関係はより重要になる。
中村さんが勧めたのは、「尊敬できる、10歳年上の人」と話すこと。経営者や先輩ほど孤独で、話を聞いてほしい人が多いという。
聞く力が、すべての土台になる
コミュニケーションで最も大切なのは、相手の言葉をそのまま返すこと。
「そうなんですね」と受け止める。その積み重ねが、信頼を生む。
ロジカルに整理する力や、逆境を楽しむ姿勢も大切だが、すべては“聞く力”から始まると語った。
DXとAIの先にある、“人の未来”をつくる挑戦
そんな中村基樹さんが、最近取り組んでいるのは、通信・小売・ヘルスケア・メディア・ハイテクといった幅広い業界の企業と向き合い、DXやAIを活かして成長戦略の策定から実行まで伴走することだ。
ムーンプライドが築いてきた2,000名のコンサルタント人材と300名の役員経験者のネットワークを結集し、社会に新しい価値を届ける挑戦を続けている。
中村さんが目指しているのは、大きなインパクトだけでなく、人々の暮らしが豊かになり、笑顔が増えていくような事業を仲間とともに創り出すことだ。
また、若い世代の成長を後押しする活動にも力を入れており、著書『まんがでわかる 20代がリーダーになる前に知っておきたいこと』では、未来を担う人材に向けて、キャリアの土台となる考え方をわかりやすく伝えている。
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ムーンプライド株式会社 代表取締役経営・DXコンサルティング会社経営。元アクセンチュア マネジング・ディレクター。通信・ハイテク、ヘルスケアなどの企業変革をリード。日経メディア連載、書籍に「CHANGE LEADER」。

中村基樹さんの歩みから伝わってくるのは、DXやAIといった最先端の手法そのものではなく、「誰のために、どんな未来をつくるのか」という問いを持ち続ける姿勢でした。多様な知見や経験を束ねながら、企業の成長と社会の豊かさを同時に実現しようとするその挑戦は、これからの時代を生きる高校生・大学生にとって、大きなヒントになるはずです。
EVOLOVEは、成果や肩書きの裏側にある、その人なりの問いや覚悟、そして仲間とともに未来を描くプロセスにこそ価値があると考えています。この記事が、あなた自身の関心や可能性を社会とどうつなげていくのかを考えるきっかけになれば幸いです。未来は、自分たちでつくっていくものなのです。
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