Interview Vol.154 夢が壊れたから、次の夢が見えた
高校生・大学生が、自分の将来や生き方について考える場として開催された「キャリアフェス in むなかた」。このイベントで届けたかったのは、成功談をなぞることではなく、迷いや挫折、回り道を含めた“一人ひとりの人生”だ。今回登壇したのは、KBC九州朝日放送アナウンサーの長岡大雅さん。軽快な語り口の奥にある、失敗と挑戦の積み重ねを、率直な言葉で学生たちに届けた。
「ここに来ている時点で、もう素晴らしい」
会場に集まった学生たちを見渡しながら、長岡さんは最初にこう伝えた。
「ここに来ているっていう時点で、もう素晴らしいです」
高校時代、野球部に打ち込みながらも、大人の話に耳を傾けることができなかった自分。反抗期の中で「大人なんて」と思っていた過去を、少し照れくさそうに振り返る。
36歳になった今、長岡さんは「人生で一番、大学に行きたい」と感じているという。それは、学生時代に学ぶ機会を十分に活かせなかった後悔があるからだ。
「時間は絶対に戻らない。だから今の1分1秒を、大事にしてほしい」
その言葉は、説教ではなく、過去の自分に向けたメッセージでもあった。
幸せに生きるために、考えてほしいこと
「どうせ生きるなら、楽しく生きてほしい」
長岡さんが語る“幸せ”は、誰かと比べるものではない。人それぞれの中にしかない感覚だという。その上で、楽しく幸せに生きるために必要なのは、「自分が何を大切にしたいかを考えること」だと話す。
夢や目標は、必ずしも今持っていなくていい。ただ、それらがあると「今何をすればいいか」が見えやすくなる。逆に、目標がない今だからこそ、可能性は無限大だとも語った。
人生の分岐点は「落ちたとき」に現れる
講演の中盤、長岡さんは自身の人生をグラフにした「ライフチャート」を紹介した。
そこには、成功よりもむしろ、落ち込んだタイミングで大きな転機が訪れていることが示されていた。
幼少期の小児喘息による長期入院。友人関係のつまずき。中学受験直前の骨折。野球肘による夢の断念。大学受験、就職活動での不合格。
「心に火がついたのは、全部“下に落ちたとき”だった」
失敗や挫折は、何かに挑戦した証拠だ。挑戦しなければ、成功も失敗もない。だからこそ、失敗したときこそが次の分岐点になると語る。
病室のテレビがくれた、最初の夢
5歳の頃、年間の半分を病院で過ごしていた長岡さん。誕生日もクリスマスも病室だった。
その孤独な時間を救ってくれたのが、病室に置かれたテレビだった。
「テレビの中は、すごくキラキラして見えたんです」
この経験が、のちに“アナウンサー”という職業への憧れにつながっていく。また、看護師たちの優しさに触れたことで、「人と関わること」への恐れが薄れていったという。
夢が壊れたから、次の夢が見えた
中学時代、プロ野球選手を目指していた長岡さん。しかし、野球肘の手術後、医師から告げられたのは「プロにはなれない」という現実だった。
「夢のはしごを、一気に外された感じでした」
だがその挫折があったからこそ、次に見えたのが“アナウンサー”という新しい夢だった。
周囲から「無理だ」と言われながらも、悔しさを原動力に変え、挑戦を続けた結果、福岡の地でアナウンサーとしての道を歩み始める。
好きだと伝える勇気が、世界を広げる
松岡修造さん、柳田悠岐選手、数々のアーティストたちとの交流についても、長岡さんは語った。
「一流の人たちほど、まっすぐな気持ちをちゃんと受け取ってくれる」
コミュニケーション能力とは、流暢に話すことではない。相手に興味を持ち、一歩踏み出して声をかける勇気だという。
「恥ずかしい気持ちは、自分を守る本能的な感情。でも、調子がいいときは、ちょっとだけ横に置いてみてほしい」
失敗は、成功の材料になる
講演の終盤、長岡さんは学生たちに改めて、こう伝えた。
「失敗したときは、チャンスです」
成功すればもちろん嬉しい。けれど、失敗したときこそ、次につながる“糧”が必ず現れる。だから、挑戦すること自体をやめないでほしいという。
「せっかく仕事をするなら、楽しいほうがいい。そのために、今できる挑戦をしてほしい」
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KBC九州 朝日放送 アナウンサー小学6年でアナウンサーを夢見る。バラエティ・報道・スポーツ・音楽など分野に囚われず、テレビ・ラジオ・YouTube・音楽フェスなど場所も選ばず、15年喋り続ける。“生きた言葉”を追い求める。

長岡大雅さんの講演には、想定を遥かに超える参加者が押し寄せた。そんな学生たちの背中を押したいと、熱量の高い言葉を紡いでくれていることが伝わった。「がんばれ」「大丈夫」「君たちならやれる」というメッセージを込めた一言ひとこと。
挑戦に迷いはつきものだし、不安がゼロになる瞬間はきっと来ない。挫折も失敗もある。
それでも、「夢が壊れても、新しい夢をつかんだ」ストーリーは、これから何かを始めようとする学生や若い世代にとって、確かな道しるべになる。この講演が、誰かの背中を押す“きっかけ”になっていたなら、いつか、そっと教えてください。
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