空でつながろう

Interview Vol.155 AI時代に、あなたはどう生きるのか

変化の激しい時代において、自分自身で問いを立て、キャリアを考えて欲しいという想いを込めてEVOLOVEがサポートした「キャリアフェス in むなかた」。本記事は、高校生・大学生を対象に開催された当イベントの講演内容をもとに構成している。今回の登壇者は、シンシアリー(Cynthialy株式会社)代表取締役CEO 國本知里さん。AIという、今まさに社会を塗り替えつつある技術を軸に、「これからのキャリアをどう考えるべきか」を、具体例と自身の失敗談を交えて語った。

AI時代に、あなたはどう生きるのか ~「仕事が奪われる時代」に挑戦する力を持つということ~

「3分の2の仕事が、AIの影響を受ける」

講演の冒頭、中村さんは学生たちに問いを投げかけた。

「“3分の2”という数字、何を表していると思いますか?」

答えは、現在存在する職業の3分の2が、今後AIの影響を受けるという予測だ。事務職、法務、エンジニアリングなど、多くの仕事が部分的に自動化される時代がすぐそこまで来ている。

「3年後、5年後、10年後。今みなさんが思い描いている仕事の形は、変わっている可能性が高い」

だからこそ、AIを“遠い未来の話”ではなく、自分のキャリアに関わる現実として捉える必要があると語った。

AIは、もう「見分けがつかない」存在になっている

続いて紹介されたのは、画像・映像・文章をAIが生成した事例だった。

「どれが人間で、どれがAIか、もう分からないですよね」

顔写真1枚から、英語でプレゼンをする姿、ジムでトレーニングする姿までが生成される。バーチャルヒューマンが24時間365日、人の代わりに話すこともできる。

AIは“便利なツール”の段階を越え、人と並んで働く存在になりつつあることが、実感をもって伝えられた。

AI時代に、あなたはどう生きるのか ~「仕事が奪われる時代」に挑戦する力を持つということ~

ロボットと一緒に働く未来は、すぐそこにある

AIエージェントやヒューマノイドロボットの映像も紹介された。家事をし、物を運び、人の生活を支えるロボットたち。

「これまであった仕事が無くなっていきます。でも、同時に“新しい仕事”が生まれます」

ロボットを作る人、メンテナンスする人、AIを動かす人。今は名前がついていない職業が、これから当たり前になっていく。

「今ある職業の中から選ぶだけじゃなく、“これから生まれる仕事を担う”という視点も持ってほしい」

岡山の山間部から、AIの世界へ

中村さん自身は、岡山県の森林に囲まれた地域で育った。AIや起業とは無縁の環境だったという。

転機は、図書館で手に取ったビル・ゲイツの本だった。インターネットとAIが社会を変える可能性に衝撃を受け、「成長産業に飛び込む」ことを決める。

外資系IT企業、AIスタートアップへの転職、そして起業。順風満帆ではなく、英語ができずに挫折し、最初の起業は失敗に終わった。

「今、うまくいっているように見えるのは、たくさんの失敗があったからです」

キャリアで大切にしてきたことは
「成長産業」と「挑戦の数」

國本さんが一貫して大事にしてきたのは、

  • 伸びている業界に身を置くこと
  • 挑戦の数を増やすこと

だった。

「成功している人は、失敗していない人じゃない。挑戦した数が圧倒的に多いだけ」

エジソンの言葉――「私は失敗したことがない。うまくいかないやり方を1万通り見つけただけだ」――を引用し、失敗の捉え方を問い直した。

AIは、挑戦する人を強くする

生成AIは、アイデア出し、資料作成、サービスの試作まで一瞬で行える。

「コードが書けなくても、専門知識がなくても、“こうしたい”と言えば形になる」

AIによって、年齢や経験の差は縮まり、誰でも挑戦できる時代が来ていると語る。

AI時代に、あなたはどう生きるのか ~「仕事が奪われる時代」に挑戦する力を持つということ~

毎日の0.01が、1年後の差になる

講演の終盤、國本さんは「0.01の法則」を紹介した。

毎日ほんの少しだけ積み重ねる。それだけで1年後には大きな差になる。逆に、少しずつサボると、気づかないうちに力は落ちていく。

「AIを使えば、この0.01が0.1になる時代です」

AI時代に奪われない仕事とは

学生から「AIに奪われない仕事」について質問が出た。

  • 体を使う仕事
  • 人の心を動かす仕事

だった。

細かなフィジカルな作業や、感情・共感・おもてなしといった領域は、人間の価値がより高まるという。

「感動をAIが作ったのは、まだ見たことがない」

問う力と、評価する力

最後に強調されたのは、AI時代のリテラシーだった。

  • 良い問いを立てる力
  • AIの答えが正しいかを判断する力

「AIを使いこなせる人が、使いこなせない人の仕事を奪う」

だからこそ、考え続け、問い続け、検証し続ける姿勢が重要になる。


  • 國本 知里

    國本 知里

    Cynthialy 株式会社 代表取締役
    国内女性AI起業家のトップランナーの一人。iU客員教授・GUGA常任協議員・文科省アントレプレナーシップ推進大使 一般社団法人Women AI Initiative Japan 代表理事

國本さんの言葉から伝わってきたのは、AI時代は不安も多い。でも同時に、これほど挑戦しやすい時代はないという学生たちへのエール。AIやテクノロジーを「効率化の道具」としてだけではなく、「人がより自分らしく生き、働くための手段」として捉えている姿勢でした。急速に変化する時代の中で、技術に振り回されるのではなく、どう向き合い、どう活かすのか。その問いに誠実に向き合い続けてきた歩みは、将来に不安を感じる高校生・大学生にとって、確かな指針になるはずです。この記事が、あなた自身の価値観とテクノロジーとの関係を見つめ直し、自分なりの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。